知っての通り、赤ちゃんはよく泣きます。日々その泣き声を聞いているママは、次第に何が理由で泣いているのかを敏感に感じ取ることができるようになっていきます。「オムツだわ」「おっぱいね」のように。

しかし、延々と泣きそうな気配のとき、どうあやすべきか迷う方もいるようです。

今回は、育児相談室「ポジカフェ」を主宰する佐藤めぐみが、赤ちゃんのぐずり期の権威であるオランダのプローイュ博士の話を交えながら、“あやすことの心理学的な意味合い”をお伝えしていきたいと思います。



■赤ちゃんが泣く理由は悲しいからではない



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赤ちゃんのぐずり期に詳しいプローイュ博士によれば、赤ちゃんが泣く理由として挙げられるのは、次のとおり。

(1)病気や痛み

(2)空腹

(3)不快感(オムツ、暑さなど)

(4)生活リズムの乱れ

(5)日常的な感情の高ぶり

(6)欲求不満

(7)退屈

(8)疲れや睡眠不足

(9)知能の急激な発達 (メンタルリープ)

初めの8つは日々お子さんと向き合っているママなら実感していることだと思います。でも最後の“メンタルリープ”は初めて聞いたという方も多いでしょう。

メンタルリープとは、先述のプローイュ博士が発見した“知能の急激な発達期”のこと。生後20ヶ月までの決まった時期に10回やってきますが、この期間にも赤ちゃんはよく泣くことが分かっています。そう、赤ちゃんは成長期にもよく泣くのです!

こう見ると、赤ちゃんはむしろ悲しくて泣くことは少ないのかもしれません。大人にとって泣くというのは特別なこと。悲しいときか嬉しいときくらいしか涙を見せません。でも赤ちゃんにとっては、泣くことは言葉の代わり。自分の意思を伝えるための手段なのですね。



■すぐにあやすのは「甘やかし」なの?

昔は赤ちゃんはよく泣かせた方がいいと考えられていました。また泣くと肺が強くなると言う人もいました。泣くたびにすぐにあやすのは甘やかしだとも言われていました。それが今では、様々な事実がわかってきています。プローイュ博士は、

「泣いている赤ちゃんをいくらあやしても甘やかすことにはならない」

「赤ちゃんが泣いたときにリアクションしてあげると、自分の声がママに届いたことが実感できる」

「ひいては泣く時間も減る傾向がある」

と言っています。

これは赤ちゃんが、根本的な安心感を得られるためです。心理学でも、赤ちゃんの最初の仕事は、自分の身の回りに“因果関係”を見つけていくことと言っています。

例えば、「ボクが泣いた→ママが来た」「ワタシが泣いた→おっぱいをくれた」のように。自分が働きかけたことで世界が動く感覚、これは生まれたばかりの不安な赤ちゃんにとっては何よりの安心感です。

だから、泣いている赤ちゃんをあやしてあげるのは甘やかしではなく、むしろやってあげるべきことなのです。

■ママの心臓の音や匂い、声のトーンが効果的!?



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あやし方として、博士がおすすめしているのは、非常に古典的な方法ばかり。

(1)優しいトーンで話しかける

(2)歌を歌う

(3)ギュッと抱きしめる

(4)体を揺らす

(5)抱っこして緩やかに踊ってみる

(6)スリングで歩き回る

など。

その際は、赤ちゃんにとって馴染みのあるママの心臓の音や匂い、声のトーンなどを大事にするのがよいそうです。

しかし、「一番効果的なあやし方はママ自身で見つける必要がある」と博士は言います。ある赤ちゃんに効くケアが必ずしも他の子にも効くとは限らないからです。

とはいえ、難しく考える必要はありません。赤ちゃんが必要としているものを最も良くわかっているのは赤ちゃん自身。ママがああすべき、こうすべきとリードするよりも、赤ちゃんに教えてもらう形で会得していくのが理想的なのですね。



いかがでしたか?

赤ちゃんは泣くことを通じて、世の中の因果関係や信頼関係を学んでいきます。だから、いくらあやしても甘やかすことにはなりませんので心配無用です。赤ちゃんの心の訴えをしっかりとキャッチしてあげましょう。



引用元:
知ってた?生後20ヵ月間の「ママのあやし」が赤ちゃんの感覚形成に与える影響(It Mama)