接種後に原因不明の痛みなどを訴える患者が相次ぎ、積極的な接種の呼びかけの中止が3年近く続く子宮けいがんワクチンについて、日本小児科学会など17の団体は患者への診療体制など十分な対策が講じられたとして、対象となる女性には積極的な接種を推奨するとする見解を発表しました。




子宮けいがんワクチンは3年前の4月、小学6年生から高校1年生までの女子を対象に法律に基づく定期接種に加えられましたが、接種後に原因不明の痛みなどを訴える患者が相次ぎ、厚生労働省は開始から2か月で接種の積極的な呼びかけを中止しました。
日本小児科学会や日本産科婦人科学会など17の団体がまとめた見解では、痛みなどの症状から回復していない人は接種10万回当たり2人の頻度にとどまる一方、オーストラリアなどでは子宮けいがんになる前段階の病変が見つかる女性が半分に減ったという報告もあってワクチンの有効性は明らかだとしています。
また、専門の診療体制や相談窓口が全国的に整備され、被害を訴える人への救済も始まったことから十分な対策が講じられたとして、対象となる年齢の女性には積極的な接種を推奨するとする見解を発表しました。
見解をまとめた慶応大学の岩田敏教授は、「このワクチンは現在ほとんど接種されておらず、将来子宮けいがんを減らせなくなるおそれが出てきている。国は一刻も早く判断してほしい」と話しています。
一方、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会の池田利恵事務局長は、「国が指定した病院を受診しても十分な診療が受けられないという相談はいまだに多く、対策が十分だとは思えない。患者の実態調査も不十分で、現状で接種を勧めても不安に感じる人が多いのではないか」と話しています。


引用元:
子宮けいがんワクチン 学会が接種勧める見解(NHK)