被災した妊婦に対応します−。熊本地震で出産を扱う病院が減少したため、熊本大病院産科婦人科(熊本市、片渕秀隆教授)は「熊本地震緊急周産期医療対策プロジェクト」を立ち上げ、妊婦と出産可能な病院をつなぐネットワークをスタートした。

 同大病院によると、県内では熊本市民病院などが被災したため、一部の病院に妊婦が集中。通院していた医療機関が被災した妊婦から、「どこへ行けばいいのか」との不安の声もあったという。

 同大病院では、熊本市近郊や玉名市、宇城市などの産科婦人科がある医療施設を調査。基幹病院以外に出産可能な施設が8カ所、安静目的の入院に対応できる施設が6カ所あった。

 ネットワークは同大病院や基幹病院、開業医などで構成。同大病院は、かかりつけ医から情報提供を受け(1)不安解消(2)分娩[ぶんべん]や帝王切開手術が必要−のどちらのケースかを判断。(1)は地域の医療機関を紹介し、(2)は同大病院などで受け入れる。

 受け入れに備えて同大病院は16床を確保、自衛隊から水100トンの供給を受けた。ガーゼなどの分娩用キットや紙おむつなどを備蓄し、不足した医療機関に配布している。

 片渕教授は「ライフラインが不安定な状況でも、大学病院が核となって安心して出産できる体制を整え、妊婦の不安を解消したい。困ったらまず、かかりつけ医に相談してほしい」と話している。(森本修代)

引用元:
被災妊婦の不安解消へ 出産対応でネットワーク(くまにちコム)