被災地では、脚の静脈に血の塊(血栓)ができ、突然死のリスクがあるエコノミークラス症候群になる人が出始めた。十九日には死亡例も明らかに。人でいっぱいの避難所や、車の中で寝泊まりし、狭いスペースで長時間同じ姿勢でいると発症し得る。二〇〇四年の新潟県中越地震でも発症が相次ぎ、問題になった。専門家は「水分をしっかり取り、意識して歩くなどの心掛けが必要だ」と注意を呼び掛ける。避難所の環境整備も重要だ。
新潟県中越地震では、今回と同様、車内で避難生活をする人が多数いた。新潟大講師の榛沢(はんざわ)和彦医師は、車中泊をしていて、エコノミークラス症候群で死亡したとみられる人が少なくとも六人いたと説明する。今回も車中泊の被災者らに発症者が出ているが、車中泊以外でもリスクはある。
榛沢医師は東日本大震災や広島土砂災害など多くの現場で、避難住民の血栓の有無を検査してきた。その経験から「避難所生活を一週間ほど続けると血栓ができる人が出てくる」と指摘する。車中泊を続けた場合は血栓ができる時期がさらに早くなるため、早期からの対策が求められる。
高リスクなのはおおむね一カ月以内に手術や出産を経験した人、妊婦、高血圧の人。対策としては(1)水分をしっかり取る(2)四、五時間おきにトイレに行くなど少しでも歩く(3)脚を圧迫する弾性ストッキングをはく−などが有効という。弾性ストッキングがない場合、脚が腫れてきたと感じたら、ふくらはぎ全体をサポーターなどを使って圧迫するのも良い。
最も効果的なのは雑魚寝をやめ、段ボール製などの簡易ベッドを使うこと。「ベッドだと立ち上がって動きやすくなり、エコノミークラス症候群防止になる」。欧米などの多くの国では、七十二時間以内に避難所にベッドを入れなければならないとのガイドラインがあるという。
榛沢医師は「欧米ではできるだけ元の生活に近づけるのが当たり前だが、日本人は我慢すべきだと思ってしまう。それは間違いだ」と話し「日本の避難所でも、被災者目線で環境整備を進めるべきだ」と訴えた。
引用元:
エコノミー症候群 水分しっかり、歩行を心掛けて(東京新聞 )