◆建設反対 住民への説明不足要因

 市川市で私立認可保育園が開園を断念したケースと同様に、我孫子市でも私立認可保育園(定員120人程度)が住民の反対で建設中止になっていたことが13日、分かった。いずれも住民への説明不足が要因とみられ、両市とも住民に対する事前説明の実施を事業者の応募条件にした。

 我孫子市によると、JR常磐線天王台駅近くで、保育園を2016年4月に開園する計画を県内の社会福祉法人が立てた。同市議会は15年3月、整備の補助費約1億9000万円を可決。法人側は翌4月上旬、設置を知らせる看板を予定地に立てたという。

 設計業者が近隣住民に説明したところ、住民が「生活に大きく影響する」として、法人に建設反対を表明。法人側は15年5〜6月、市職員と住民説明会を開催したが、理解を得られず、7月に建設を断念した。

 市は「看板設置前に説明するべきだった」とし、その後は事業者が保育園設置を申し出る際、近隣住民の同意を条件にした。この方法で、天王台地区の別の場所で来年4月、認可保育園(定員70人)が2か所開園する予定だという。

 市川市のケースも、事業者が住民への事前説明を行わずに建設を知らせる看板を設置し、住民の反発を招いた。近くに住む女性は「事前に相談があれば結果は違ったと思う」と話す。

 四街道市は、新設事業者の応募条件に自治会長らへの事前説明を加えている。「突然看板を立てることは配慮が足りない」(東葛地域の担当者)との指摘があり、菅官房長官も13日の記者会見で、「市町村や保育所の設置主体が早い段階から地域住民と対話することが極めて重要だ」と述べた。

 一方、保育園の開園後に苦情を受け、対応を迫られるケースもある。浦安市では2年ほど前、認可保育園の近隣住民から市に対し、「プールで遊ぶ声がうるさい」と苦情があった。この保育園は、近くの施設のプールを利用している。

 同市ではこのほか、保育園に隣接するアパートの住民が「園庭の声がうるさい」との理由で退去。家主が市に抗議し、運営事業者がアパートの窓を二重サッシに改修した。


引用元:
保育園断念 我孫子でも 千葉 (読売新聞)