25歳の娘。妊娠10週目の時、病院で右の卵巣に腫瘍(しゅよう)があると言われました。妊婦がMRI検査を受けても大丈夫でしょうか。腫瘍は良性でも、出産ができるのか心配です。もし悪性であれば、出産をあきらめ、すぐに治療を始めなければならないのでしょうか。(北海道・W)

【答える人】阪埜浩司(ばんの・こうじ)さん 慶応大専任講師(産婦人科学)=東京都新宿区

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Question 卵巣に腫瘍があるそうです。


Answer 卵巣は親指の先ぐらいの大きさで、子宮の両側に一つずつあり、さまざまな腫瘍ができやすい臓器です。腫瘍が小さい場合は無症状のことが多いです。卵巣腫瘍の約9割は良性で、約1割が悪性と言われています。良性と悪性の中間の「境界悪性」もあります。悪性の卵巣がんは50代前後によくみられます。


Question 妊娠中のMRI検査を心配しています。


Answer 腫瘍の状態は超音波検査で詳しくわかります。MRI検査は、良性か悪性かの判別が難しい時にします。X線を使っておらず被曝(ひばく)はしません。14週以降で造影剤を使わなければ、妊婦や胎児にも問題ないと考えられています。


Question 腫瘍があると出産に影響が出ますか?


Answer 妊娠初期に多いのは「ルテインのう胞」と呼ばれる良性の腫瘍で、たいていは妊娠16週までに自然に消えます。良性の腫瘍は血や水などがたまっており、大きさが5a以下ならば、そのままでも出産に問題はありません。


Question 5aを超えると?


Answer 卵巣を支えている靱帯(じんたい)がねじれたり、卵巣が破裂したりする危険性があるため、腫瘍を摘出する手術を検討します。胎盤ができる12週以降にするのが一般的です。


Question 悪性の場合は?


Answer 妊婦の卵巣がんは進行していない場合が大半です。がんが周りの臓器などに広がっていなければ、手術や抗がん剤治療を受けても出産できる可能性は残ります。状態によって出産後に治療に専念する選択もあります。卵巣が一つでも妊娠、出産は可能です。医師の指示に従って適切な治療を受けることが大切です。




引用元:
妊娠中、卵巣に腫瘍 出産できますか