季節の変わり目は、子どもはもちろん大人も体調を崩しやすい時期です。季節の変わり目に発生する移動性高気圧のせいで、低気圧と高気圧が激しく入れ替わることで、さまざまな身体への影響が起こります。とくに気をつけたいのが、冬から春になる今の季節と梅雨時で、これから温かくなるという期待感などから、冷えへの用心を怠ってしまいがちだからです。季節の変わり目に体調を崩しやすい子どもの傾向と、その対処法についてご説明します。薄着に慣れていないと、子どもでも不定愁訴(ふていしゅうそ)に

 子どもは一般的に、季節の変わり目は感染症などの病気にかかりやすく、大人より注意が必要です。しかし近年、大人によく見られるような不定愁訴(ふていしゅうそ)を訴える子どもが増えています。不定愁訴とは、なんとなくだるい、頭やおなかが痛い、やる気が出ない、気分が落ち込むなどの、原因がはっきりしないさまざまな身体の不調のことですが、それらの多くは自律神経の乱れによって起こるとも考えられています。自律神経の乱れは、寝不足や運動不足、栄養のかたよりなど、生活習慣の乱れによって起こる場合と、ストレスなどの精神的な要因によって起こる場合、あるいはその両方の場合があります。

子ども、とくに小学生以下の小さな子どもが不定愁訴を訴える場合は、ストレスが原因であることもありますが、多くは運動不足だったり、エアコンで室温がコントロールされた屋内に常にいたり、外出時も大人と同じような厚着をしているために、汗腺が発達せず、自律神経の切り替えもスムーズにできないためであることが多いようです。

子どもは一般的に大人より体温が高いので、その分薄着にさせることがすすめられます。寒くないのに厚着をしていると、汗腺が退化して自分の力で体温調節ができなくなってしまうからです。汗をかくと、汗がついた皮膚から乾いて蒸発するときに熱が奪われます(気化熱)。汗を出す汗腺は、運動をしたり暑い場所にいたりすることで鍛えられますが、エアコンで室温をコントロールされた、快適な場所に常にいたり、大人と同じような服の枚数の衣服を着たりして厚着をしていると、汗腺が発達せず、また暑さ寒さの変化による副交感神経のスイッチのオン・オフが行われにくくなることから、体温調節がしにくい体質となってしまいます。

夏や冬は、そのシーズンを通じて暑さや寒さの対策を講じていればよいのですが、暑さと寒さが短期間で交互にやってくる季節の変わり目に体温調節能力が弱いと、余分の体力、エネルギーを使ってしまい、その結果、子どもでも冷え性になったり、身体やメンタルなど、身体のもっとも弱いところにしわ寄せがきてしまうのです。

対策は、対処療法で症状を抑えつつ、体質改善を目指す

 また、季節の変わり目には、ぜんそくや気管支炎になったり、アレルギーがひどくなる子どもが多くいますが、気温差から風邪を引きやすくなったり、花粉も関与しているのかもしれません。また、気圧が関係しているとも言われていますが、はっきりとはしていません。

いずれにしても、季節の変わり目の不調を治すには、それぞれの症状に対処する一方、体質や生活改善を図ることが大切です。

とくに春先や梅雨の時期は、いくら温かい日、暑い日が続いても、急に寒くなったりすることもありますね。そんな急激な気温差にもなるべくすばやく対応できるように、着脱しやすい上着や巻物(マフラーや腹巻きなど)、使い捨てカイロなどを常備し、温かい飲食物をとって外からも内からも冷やさないようにしましょう。
寒いからといって厚着をしてしまうと暑くなった時に体温調節機能が働くなくなります。寒い時には暖かく、暑くなったら一枚脱いで薄着にすることで対応しましょう。環境の変化に身体がすぐに対応できるように、体質を変え、また生活を改善することが大切です。

体質の改善を図るために…

・適度な運動を習慣に
・寝不足にならないように早く寝かせる
・自律神経を整えるために、朝は決まった時間に起こす
・明け方に身体を冷やさないように
・朝食をしっかり食べさせる(献立は栄養をまんべんなくとれるように)

子どもだけでなく、大人も同じように心がけて、家族みんなで季節の変わり目を元気に乗り切りたいですね。

監修:高田佳輝
40年間小児外科を中心に小児医療に携わる。小児外科指導医。


引用元:
なぜ、季節の変わり目は体調をくずしやすい? この季節に気を付けたいこと (ベネッセ)