「飲んで効き 長湯して利く長湯のお湯は 心臓胃腸に血の薬」。温泉医学を学んだ九州帝国大(現・九州大)の松尾武幸博士は1933年、竹田市直入町の長湯温泉を調査し、効能をこうたたえた。最近、長湯温泉が実際に健康に良いとする研究結果が、相次ぎ発表されている。

 長湯温泉は、各種のミネラルや硫化物に加え、高濃度の炭酸ガスを含んでいるのが特徴とされ、飲む利用者も多い。

 湯につかる効能を示そうとしたのは、竹田市の九州アルプス商工会が昨年8〜11月に調べた「入浴モニター事業」。2月に結果が発表された。調査は、温泉に詳しい医学博士・松田忠徳さんに委託した。

 湯治は、3泊4日の短期と、3カ月のうち週2回程度通う長期を調べた。短期の対象者は33〜72歳の男女23人、長期は27〜79歳の男女23人。いずれも「普段定期的に温泉浴していない」「現在病気などで通院していない」を条件とした。調査にあたり、松田さんは1日延べ15〜20分、湯につかるよう指導したという。
 対象者の最高血圧の平均値は、短期が129から120に、長期が140からら132に下がった。ストレスを感じると血液内に増えるという活性酸素の代謝物量も、長短期とも湯治前は「中程度」だったのに、湯治後は「正常」に。活性酸素の代謝物量は、糖尿病や動脈硬化などと密接な関係があるとされる。

 短期の調査結果について、松田さんは「他の温泉にない特徴」。

 飲む効能については、慶応大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)が、竹田市や地元の医院などと14年に約1カ月間調べ、結果が昨年12月に国際学術誌のオンライン版に発表された。

 26〜59歳の男女19人を研究対象とした。長湯の炭酸水素塩泉500ccを1日3回、1週間飲み、普通の水を同様に飲んだ場合と比べた。血液を調べたところ、血糖の状態を示す指標となる数値が16人で減少。ブドウ糖を消費してエネルギーを生み出す働きが高まった可能性がある、とみている。体重増加を抑える腸内細菌も増えた、としている。

 研究所は、長湯温泉のすべての泉源に効果があるかは分からないとしつつも、「炭酸水素塩泉の飲用は、体内の代謝や腸内細菌バランスを変化させ、血糖状態改善効果を有する可能性がある」と結論づけた。研究員の一人、村上慎之介さんは「健常者を対象にした必要最低限のデータは得られた。動物実験などでさらに研究したい」と話した。


引用元:
温泉の効能は本当? 大分・長湯温泉の研究続々 (朝日新聞)