小児がんの患者がいる家族は看病のために仕事を失うなど治療以外にも深刻な問題を抱えている実態が、県が初めて実施した調査で分かった。患者のきょうだいにも精神的な影響が及び、教育、家計、夫婦関係など幅広い問題が浮き彫りとなり、家族を支える病院や行政の取り組みが急務と言えそうだ。 (菅原洋)

 調査はがん対策推進条例を持つ県が、実態が分かっていない小児がん患者と家族の問題を把握するために独自に企画。がん対策推進協議会小児がん専門分科会に、医師や有識者ら八人によるワーキンググループを設けて調査した。結果は分科会の検討に生かし、対策につなげる。

 調査は二〇一四年十月〜一五年一月、県内の各保健所へ小児がんに関連する医療給付の申請に訪れた百七十六人に依頼し、八十一人(46%)から郵送で回答を得た。その後、調査結果の分析を進め、今年三月に報告書がまとまった。

 調査結果によると、患者の調査時の平均年齢は八歳で、診断時は同四歳。病名は最多が白血病の三十八人、次いで脳腫瘍の十七人だった。

 入院経験がある家族七十一人から治療以外の問題を複数回答で聞いたところ、最多は「きょうだいへの影響」が50%。「親がそばにおれず、寂しい思いをさせた」「患者のきょうだいに会えないストレスが表れた」「勉強に影響した」などの記述があった。

 次いで「親の仕事への影響」が42%。「看病で仕事を休みがちとなり、休職、退職に至った」「付き添いの影響で仕事を辞めた」など退職したケースが数件確認された。「父親が職場でリーダー的な役職だったが、休みが取れず、帰宅が遅くなり、自ら役を降りた」との記載もあった。

 三番目は「経済的な問題」の39%で、交通費や付き添いにかかる費用などが負担になった。「仕事に影響し、収入が減った」というシングルマザーの悩みもあった。

 四番目は「家族への負担」の28%。「夫婦に精神的に余裕がなくなり、ささいなことでけんかした」「祖父母に身体的な負担をかけた」などの事例があった。

 五番目は「付き添い家族としての生活環境の苦痛」の14%。病室内に泊まった家族は67%を占め、家族の食事や寝る場所などの問題が苦痛につながったとみられる。

 同じく五番目には「患者本人の教育・保育の問題」が14%で並び、入院による学業の遅れを心配する家族の姿がうかがわれる。

 県がん対策推進室は「小児がんは大人のがんとは異なり、家族の付き添いが長くなる点が背景にあるのではないか。調査結果を県内の病院に配って対応に生かしてもらい、県としても家族に正確な情報を伝えたい」と話している。



引用元:
小児がん、患者家族の苦悩 県が初の実態調査【群馬】(東京新聞‎)