2016年4月1日、「2人っ子政策」の実施を受けて、河南省の精子バンクには精子を求める人々が多く訪れ、ピンチを迎えている。河南省人類精子バンクを訪れたある精子提供ボランティアに密着し、精子提供までの流れを取材した。鄭州晩報が伝えた。

▼精子提供者のほとんどが1次検査で失格

河南省人類精子バンクに現れたのは1996年生まれの精子提供ボランティアの姜(ジアン)さん。精子バンクスタッフの王(ワン)さんが相談室で対応してくれた。

姜さんは初めての精子提供ということで、王さんから1枚のフロー表を渡され、精子提供の全プロセスに関する詳細な説明を受けた後で、今度は1枚の同意書が渡された。

同意書にサインすることが精子提供への第一歩となる。姜さんはサインして、王さんが間違いがないことをチェックすると、彼を「神秘の小部屋」に連れて行った。彼はそこで1回目の精子サンプルの採取を行うという。この1回目の採取は提供用ではなく、精子の運動性を検査するのに用いられる。

「精子の運動性の検査に合格した人だけが次のプロセスに進むことができる。ほとんどの人がこの1次検査で失格してしまう」と王さんは語った。訪れる人のほとんどが事前に何も準備していないため、1回目の精子運動性に不合格だった場合、もう1回検査のチャンスが与えられる。もし2回とも不合格だった場合は、精子を提供できない。

姜さんが「小部屋」から出てくると、王さんは指紋採取を行った。指紋採取は1人で何度も精子提供をしたり、精子提供に成功しなかった人が何度も試そうとしないようにするためだと説明した。

王さんは「中国では、1人は一生のうち精子提供できるのは1回に制限されており、何度も精子提供をしてはならない。また提供された精子は1人あたり最高でも5人の女性にしか使用することができない。もし1人が提供した精子で5人全員が妊娠したとしても、残りの精子は廃棄処分され、二度と使用されることはない」と語った。

▼精子提供者は無料で精子サンプルの保存が可能

精子提供ボランティアは謝礼を受け取る以外、全てのボランティアは自分の精子を1サンプル無料で凍結保存することができ、万が一の場合に備えることができる。そのため、無料の精子凍結保存を目的として提供にくるボランティアも少なくないという。

またいわゆる精子凍結保存とは、つまり生殖の保険(自己精子保存)であり、超低温凍結技術により事前に精子を保存しておき、将来的に必要が生じたら、精子を融解して人工授精などの生殖治療に使用することができる。

王さんは「現在、卵子の凍結保存技術は倫理的にも法律上でも未解決の問題があるが、精子の凍結保存はすでに成熟した技術であり、凍結保存に関しての問い合わせも少なくない」と語る。

また、現在最も多いのが癌患者、特に放射能治療前の患者の精子保存だという。自身で精子を保存する場合の年間費用は2640元(約4万6000円)で、癌患者の多くが将来的な妊娠・出産のため、問い合わせにくるという。(提供/人民網日本語版・翻訳/TG・編集/武藤)

引用元:
「2人っ子政策」で精子バンクがピンチ、ほとんどが1次検査で失格―中国(recordchina)