おたふくかぜといえば、麻疹や風疹、水ぼうそうと並んで子供の代表的な病気です。正式には「流行性耳下腺炎」といい、5〜6年の周期で流行します。今、流行の兆しが出ています。昨年8月ごろから患者が増えているためで、今後注意が必要です。
病気は「ムンプスウイルス」に感染して起きます。
例えばインフルエンザウイルスは人間の呼吸器で、ノロウイルスは消化器で感染し、ウイルスが増殖します。
ところが、ムンプスウイルスは「全身感染」です。体のどこかで増殖したウイルスが、血液にのって体中にばらまかれるのです。
ムンプスウイルスが特に好む場所が「腺組織」です。唾液など分泌物を排出する器官です。耳の下には耳下腺があり、そのほか、顎下(がっか)腺、舌下(ぜっか)腺などがあります。こういう場所にウイルスが入り込み、炎症を起こすのです。
頬がはれるのが知られていますが、右側と左側で症状のタイミングがずれることもあります。合併症として、無菌性(ウイルス性)髄膜炎のほか、膵臓(すいぞう)の炎症、年齢が上がると、精巣炎や卵巣炎を起こすことが知られています。顔がはれているときに同時に起こるかというと、そうでもありません。
合併症には感音性難聴もあります。片耳だけ聞こえない例が多く、治りにくいのです。おたふくかぜ感染者の1万〜2万人に1人の割合とされていましたが、最近の報告ではもっと多いようです。
唾液を介した飛沫(ひまつ)感染で、2〜3週間の潜伏期間の後に発症します。ただ、症状が出ない「不顕性感染」も一定の割合であり、かかっても症状が軽くてすむ人もいます。このため本人が気付かないうちに、他人にうつしていることもあるようです。
発症する年齢は4〜5歳が一番多いですが、成人にも報告はあります。年齢が高いほど症状がひどく、合併症のリスクも大きくなりやすいようです。現時点では効果的な治療がなく、治療は解熱、痛み止めなどの対症療法です。
唯一の予防はワクチンの接種です。日本では任意接種ですが、合併症を防ぐためにも、ワクチンを勧めています。
唾液の中にウイルスが出てきますので、病気にかかった人は唾液を飛び散らせないように、マスクをすることも大切です。
最後に、耳下腺がはれる病気はおたふくかぜだけじゃありません。別のウイルスによるものや、反復性耳下腺炎といって、繰り返し炎症が起きる人もいます。顔がはれたとき、すぐにおたふくかぜだと思わず、病院できちんと調べることが必要です。
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福岡市立こども病院の専門医が、子供に関わる病気・症状を解説する。(隔週金曜日掲載)
引用元:
【福岡市立こども病院 専門医が診る】おたふくかぜ 合併症に注意を(産経新聞)