出産前後に高度な治療が必要な妊婦や新生児を受け入れる「周産母子センター」が四月、千葉大病院(千葉市中央区)に開設される。出産前の妊婦のための集中治療室「MFICU」が新設されるほか、新生児集中治療室「NICU」と、その後のケアを担う継続保育治療室「GCU」も受け入れ規模を拡大する。 (柚木まり)

 新しいセンターは、妊婦と胎児を二十四時間体制で診療できるMFICUを六床新設した。すべて個室で、分娩(ぶんべん)室を併設。出産前の長期入院にも対応する。また、NICUは三床増やして九床に、NICUで安定後も治療が必要な新生児のためのGCUは十二床増やし十八床にそれぞれ拡大した。

 同病院小児科によると、出産年齢の高齢化が進み、糖尿病や高血圧などの合併症を抱える妊婦の割合が増えているという。一方で、分娩の危険度が高い妊婦や、出産直後に外科手術などが必要な新生児の受け入れができる病院は限られる。

 県内で高度な医療が可能な「総合周産期母子医療センター」には、亀田総合病院(鴨川市)と東京女子医大八千代医療センター(八千代市)が、県から指定を受けている。千葉大病院の担当者は「県内は人口百万人に一カ所という国の基準に足りていない」と指摘し、早期のセンター指定を目指す。

◆開設に合わせ壁画 画家・伊藤香奈さん制作
 来月の周産母子センター開設に向け、たくさんの医療機器が運びこまれる傍らで、絵筆を手に壁に向かう女性がいる。画家の伊藤香奈さん(37)=東京都新宿区=は、重い症状を抱えて入院する妊婦や新生児のため「少しでも穏やかな気持ちになれるように」と思いを込めてイラストを描いている。

 作業を始めたのは先月末。約一カ月で二フロア分の壁画を仕上げなくてはならない。「森に包まれているような世界観を出したい」と、パステルの緑色をメーンカラーに、真っ白な壁にペンキで描いていく。大きな木に止まる小鳥や、湖に浮かぶハクチョウ−。淡く優しい色調で、鳥や動物の親子やきょうだいが並ぶ。

 千葉大大学院で美術教育を学んだ伊藤さんは二〇〇九年、小児科病棟の改修に合わせて学生と壁に絵を描いた。かわいいキャラクターがあちらこちらに登場し、入院する子どもたちは探して楽しんでいるという。同じ病棟の一、二階に新設するセンターも、伊藤さんの絵が持つ優しい雰囲気で包みたいと、病院側が制作を依頼した。

 NICUを担当する遠藤真美子医師は「子どもにも大人と同じ高度な治療をしようとするほど、院内は機械がいっぱいで硬い印象になる。手描きの温かさやユーモアに、母親も穏やかな気持ちになるのではないか」と話した。



引用元:
出産前後の高度医療充実 千葉大病院に来月「周産母子センター」(東京新聞)