片頭痛は女性でも多い病気です。その理由として、月経周期などホルモンバランスが関連していることが言われています。今回は、片頭痛とピル(経口避妊薬)の関係について解説します。
◆片頭痛とエストロゲン(女性ホルモン)の関係とは?
片頭痛は、片側(または両側)に現れるズキズキとした頭痛のことで、男性よりも女性に発症しやすいことが知られています。その原因のひとつに、女性ホルモンであるエストロゲンが関わっていることがわかっています。エストロゲンの分泌量は月経周期によって変動するため、この変動に伴って片頭痛が現れるという仕組みです。エストロゲンの変動が大きい思春期の女性や月経の前後、閉経前などで、片頭痛が現れ、特に月経の前後ですと、エストロゲンの分泌量が不安定になり、なかなか治らないとも言われています。
片頭痛とエストロゲンのこのような関係により、ピル(経口避妊薬)やエストロゲン療法(ホルモン療法)は片頭痛を悪化させます。ピルを服用する場合、一般的に、多く見られる副作用のひとつが頭痛です。もし頭痛が現れた場合、ピルの服用中止の理由になりえます。頭痛の多くが、服用のし始めで現れ、服用し続けた場合では症状が軽快する場合もあります。
次に、片頭痛を持っている人がピルを飲んでも安全なの?という疑問について詳しく見ていきます。
◆片頭痛でピル(経口避妊薬)を飲んでも大丈夫?危険性について解説
ピルの成分には、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンから作られたプロゲストーゲンが含まれます。ピルに含まれるエストロゲンの含有量によって、低用量か高用量かが決まり、現在では多くが副作用の少ない低用量ピルが用いられています。
片頭痛を持っている人が、ピルを飲むことに関して、様々な意見がありますが、その多くが「虚血性脳卒中(主に脳梗塞)を発症する危険性がある」というものです(片頭痛もエストロゲンも単独で虚血性脳卒中発症の要因となり得る話があります)。この危険性については、片頭痛で「前兆があるもの」と「前兆がないもの」で異なります。ここで言う前兆は、主に、閃輝暗点(突然目に光が走り、徐々に広がっていく現象)やしびれや脱力感、言葉の障害などです。
前兆のない片頭痛の場合は、ピルを飲んでいると虚血性脳卒中になる危険性が1.5倍〜3.0倍であったという報告があり、そのような「前兆のない片頭痛とピルの服用の関連性を検討した研究」をまとめて見てみると、1.8倍程度の危険性でした。この研究は比較的古いものでしたが、最近(2009年)の研究では、前兆のない片頭痛では虚血性脳卒中を発症する危険性の増加は見られないという結果が出ており、慢性頭痛の診療ガイドライン2013では、「前兆のない片頭痛では禁忌ではないが投与にあたり慎重な判断を要し、経過観察が必要である。」と記載されています。
一方、前兆のある片頭痛の場合、虚血性脳卒中を発症する危険性には注意が必要です。前兆のある片頭痛でピルを飲んでいて、さらに喫煙している場合、虚血性脳卒中を発症する危険性は10.0倍という研究結果があります。慢性頭痛の診療ガイドライン2013では、「前兆のある片頭痛ではエストロゲンを含有する経口避妊薬は原則禁忌であり、その他の避妊法が勧められる。」と記載されています。
もちろん、避妊目的ではなく、何かしらの病気について治療目的に使用する場合もあります。この際は、その人によって危険と利益のバランスをしっかり考える必要があります。
もし、前兆のある片頭痛を持っていて、避妊薬を飲む必要がある状況に立った場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?現在のところ、主に2つの方法があります。ひとつはバリア避妊法(コンドームなどの着用)、もうひとつは子宮内避妊用具の使用です。詳しくは医療機関へご相談ください。
頭痛外来など、近年少しずつ「病気としての認識」が高まっている片頭痛ですが、このような薬の使用による問題点もあります。今回は、主にどのような危険性があるかについて説明したため、治療法については触れていません。別の記事もご参考になさってください。
引用元:
片頭痛でピル(経口避妊薬)は危ない!?その理由と根拠について解説(MEDLEY)