乳がんは早期発見による治療で死亡率が低下することが期待され、検診の重要性が指摘されている。
元女子プロレスラーでタレントの北斗晶さんが昨年9月、乳がんを公表し、検診への関心も高まったという。専門家らは「一過性のブームに終わらせることなく、正しい知識を持って検診に臨んでほしい」と呼びかけている。
■受診率20%に満たず
福岡市では、各区の保健福祉センターなどに加え、市内42か所の医療機関で検診を受けることができる。乳がん検診の対象年齢である満40歳の人に対し、無料クーポンを配布。新年度になると「健診ガイド」を市政だよりに折り込み、毎年10月の「健康づくり月間」に合わせて啓発活動に取り組む。
受診率は微増傾向にはあるものの、2014年度は19.1%。昨年の北斗さんの報道後には、乳がんへの関心の高まりから一時的に受診者が増加したが、同市健康増進課は「残念ながら、反応が持続しているということはないのが実情」という。
■マンモグラフィー推奨
厚生労働省によると、日本では1年間に8万人以上が乳がんにかかり、死亡数は1万3000人以上に上る。乳がんは40歳代から罹患率が上昇することなどから、国は04年度から、40歳以上の女性に対し、視触診とマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)併用の検診を、2年に1度受けることを推奨してきた。新年度からは、視触診との併用は推奨せず、マンモグラフィーのみの検診を勧める方針だ。
検診受診率が80%を超える米国や70%以上の英国では、乳がん発生率は高まっているのに対し、死亡率は低下。欧米の調査では、マンモグラフィー検診を受け続けた人は受けなかった人に比べ、死亡率が15〜25%低下した。
これに対し、日本は受診率30%台で、発生率とともに死亡率も高まっている。河野みどり課長は「市民の権利だと思って、検診を受けてほしい」と呼びかける。
■マイナス面も考慮
検診を受けた方が良い年齢や、検査の内容、間隔などは、がんを発症しやすい年齢などに加え、受診に伴う体や心の負担などのマイナス面も考慮して定められている。
九州大消化器・総合外科助教の山下 奈真(なみ) さんによると、検診では約1割の人が要精密検査となるが、実際にがんと診断されるのはそのうち数%。精密検査でがんでないとされる『偽陽性』や、それに伴う患者の心理的負担なども問題となる。「過剰診断による不必要な治療の可能性や放射線 被曝(ひばく) の問題などもあり、検診にはマイナス面も伴う」と説明する。
マンモグラフィーは乳腺もがんも同じように白く映る。日本人は欧米人に比べ乳腺の密度が濃く、中でも若い人は乳腺の密度が濃い。同臨床放射線科助教の神谷武志さんは、「検診は万能ではないことも知ってほしい」と話す。
米国がん協会は昨年、マンモグラフィー検診について希望者は40歳から、45〜54歳は毎年、55歳以上は2年に1回受けるべきだとする指針を発表した。50歳代で発生率が高く検診の利益が大きいためだ。一方、米国保健福祉省の作業部会は1月、過剰な検診による不利益を避ける観点から、従来通り50〜74歳に2年に1回を推奨するとしている。
九大臨床・腫瘍外科助教の久保真さんは「過度な不安から、あらゆる世代が頻繁に検診を受ける必要はないが、乳がんのリスクは個人で異なることや検診の利益、不利益を正しく知って受けてほしい」と話している。
引用元:
乳がん検診…40歳以上、2年に1度推奨(読売新聞)