健康な女性を対象に、将来の出産に備えた卵子凍結を行っている医療機関が、全国に少なくとも23施設あり、40歳代の女性3人が凍結卵子を使って出産していたことが、読売新聞の調査でわかった。

これらの施設では今年2月末までに562人が卵子を凍結していた。できるだけ若い時の卵子を保存しておけば、出産できる可能性は高まるが、「母子への健康リスクが高い高齢出産を助長する」と懸念する声もある。

調査は昨年10月、高度な不妊治療を行う施設として日本産科婦人科学会に登録する597施設にアンケートを送付。19日までに304施設が回答し、23施設が健康な女性の卵子凍結の実施人数などを明らかにした。

採卵時の女性の年齢は24〜49歳。31人が凍結卵子を解凍して使用した。出産したのは、セントマザー産婦人科医院(北九州市)が2人、オーク住吉産婦人科(大阪市)が1人の計3人。いずれも未婚だった3人の採卵時の年齢は38、39、41歳。結婚後に凍結卵子を使って体外受精を行い、それぞれ40、41、44歳で産んだという。

卵子凍結を望んだ理由について各施設に複数回答で聞いたところ、「今はパートナーがいない」(21施設)、「今は仕事が忙しいなどで出産できない」(7施設)などが多かった。

卵子凍結は2000年頃から、がん治療などで卵巣機能を損なう女性に将来の出産の可能性を残すために始まった。このような卵子凍結は118施設が行っていると回答した。

その後、加齢などによる不妊対策として、健康な女性に対しても一部の施設で始まった。13年に日本生殖医学会が条件付きで認める指針を作ったことで、一気に拡大したとみられる。23施設のうち14施設は同年以降に開始しており、今後も増える可能性がある。

同学会の指針では、高齢出産のリスクを考えて、40歳以上での採卵や45歳以上での使用は推奨できないとしているが、今回の調査では卵子を凍結した女性の約4割が40歳以上で採卵した。

年間37万件行われている体外受精では通常、卵子は凍結せずに受精させ、順調に育った受精卵を子宮に移植する。卵子の段階では、移植できる受精卵になるかまだ分からず、卵子凍結を行っても出産できる確率は高くならない。

東京大学産婦人科の大須賀穣教授は「凍結卵子を使うことで妊娠する年齢が高くなると、卵子の質に関係なく、妊娠高血圧症候群や早産なども増えて、母子へのリスクが高くなる」と注意を促している。



引用元:
卵子凍結、健康女性562人…40代3人が出産(東洋経済オンライン)