トレド大学(オハイオ州)の医学士で、米国神経学会のメンバー、Gretchen Tietjenらによるリサーチで、子ども時代の感情的虐待が、大人になってからの片頭痛発症リスクに強い関連性を持っている可能性が指摘されました。
感情的虐待は、こども時代の身体的・性的虐待よりも片頭痛発症リスクに、より強い関連性があるとの研究成果が、4月に開催される米国神経学会の年次報告会で報告される予定となっています。
調査方法とデータ化
子どもの頃に本当に傷つけられたり、愛されていないと感じるような発言を、両親や周りの大人たちからどれくらいの頻度で言われたか?
本研究では、上記の質問によって感情的な虐待度合いを評価しました。
被験者は若者14、484人です。(24歳〜32歳)そのうち、既に片頭痛の診断を受けている者は14%でした。さらに、感情的、身体的、性的虐待を受けていたかどうかも併せて質問しています。
ここで言うところの身体的虐待とは、殴る蹴る、床や壁に叩きつけるといったことです。
性的虐待とは性的に接触したり肉体関係を強制されることです。結果、このようになっています。
感情的虐待…47%
肉体的虐待…18%
性的虐待…5%
このうち、既に片頭痛の診断を受けている者の61%が、「何らかの虐待を受けていた」と回答しています。
片頭痛の症状を発症したことがない虐待経験者率は、49%でした。
年齢・収入・職業・人種を考慮した結果、虐待を受けた者の片頭痛発症率は虐待を受けなかった者よりも、55%高くなっていました。
感情的虐待と片頭痛の関係性については、研究者らがうつ病や不安障害を考慮して調査結果を調整するときに疑問点として残ったため分析した結果、「感情的な虐待を受けた者」は、「虐待を受けていない者」と比べて、32%以上片頭痛になりやすいことがわかりました。
Tietjenはこの結果から、子ども時代、より頻繁に発生する感情的な虐待は片頭痛との関連性が高いことを指摘しています。
メカニズムと影響は明らかではない
この調査結果は「特定の虐待経験者の間では、片頭痛になる可能性が高い」ことを、数字として示すものではありますが、精神的な虐待が片頭痛を誘発するメカニズムに、どれくらいの影響を及ぼすのかを明らかにするものではありません。
このためTietjenは今後、感情的な虐待と片頭痛の関係性を明らかにするための更なる研究結果が必要だとしています。
きちんと因果関係が証明されれば今後、片頭痛治療の現場において、医師は「患者の子ども時代の感情的な虐待の可能性」を考慮に入れるべきかもしれません。
《参照》
Children Who Are Emotionally Abused May Be More Likely to Experience Migraine as Adults(2016年3月2日プレスリリース・American Academy of Neurology®)
American Academy of Neurology
引用元:
感情的虐待を受けた子どもは、大人になると片頭痛発症率が高い?