妊娠してからというもの、いくら寝ても眠気がとれない……。そもそも眠れなくなった……。そんな悩みを抱えている妊婦は多いもの。出産・子育ての不安という精神的な理由のほか、身体の変化が理由となっているものもある。そこで今回、睡眠コンサルタントの友野なおさんに、妊婦が抱える睡眠トラブルをうかがった。
妊婦の理想的な睡眠は1日7〜8時間
実際、妊婦にとって理想的な睡眠時間はどのくらいなのだろうか。その時間は一般の人と変わりはなく、一日7〜8時間の睡眠が理想的と友野さんは言う。ただし、この数値は科学的に証明されたものではなく、あくまでも統計的な数字でしかない。どの程度の時間がベストなのかは個人差があるとされている。
ただし、睡眠のコアタイムというものはある。人間の「サーカディアンリズム」と呼ばれる体内時計のコアタイムが24〜6時と考えられているため、23〜7時のあたりで睡眠をとっておくのが理想的とのこと。実際に、24時以前に就寝している妊婦の方が、妊娠することによって起こる不快な症状の総称である「マイナートラブル」を感じる割合が低いということが分かっている。
睡眠とマイナートラブルは相関関係
マイナートラブルは妊娠によってホルモンのバランスが変わったり、子宮が増大したりすることによる不快感から生じるもので、睡眠とは相関関係となっている。マイナートラブル自体は妊娠の経過に障害を与えるものではないが、具体的には、疲れやすくなる倦怠感や易疲労(いひろう)、肩こり、腰痛、便秘、頻尿などを自覚するようになる。
その中でも特に、倦怠感や易疲労、頻尿は妊婦に多い"三大症状"と呼ばれており、頻尿は妊婦のほとんどが体験する睡眠トラブル「中途覚醒」に直接関係する。その他、足がつる「こむら返り」や足に痒みや痛みなどを感じる「むずむず脚症候群」も妊婦によく見られる睡眠トラブルと言われている。こむら返りとむずむず脚症候群はともに、妊娠3カ月以降に出始めて8カ月目にピークを迎え、分娩にとともに消滅していく傾向がある。
これらの睡眠トラブル以外にも、おなかが大きくなることによる寝苦しさ、身体の重心の位置が変わることによって生じる腰痛や肩こり、また、抑うつやイライラ感といった精神症状も、妊婦に想定されるリスクとして挙げられている。
問題は"睡眠時間"ではなくて……
では、妊娠前と妊娠中では一般的に睡眠はどう変化するのだろうか。時間の観点から言うと、一般の人に比べ、妊婦の就寝時間は平均して31分早まり、総睡眠時間としては21.4分延長したという調査もある(出典: 広島国際大学 心理臨床センター紀要 第13号 2014)。
つまり、妊娠を機に通常よりも早く就寝し、通常と同じ時間に起床するため、就寝時間が長くなる傾向があるのだ。これは、倦怠感や易疲労の中で自然と身体が睡眠をほっしているということが考えられるが、出産に備えて身体を備えようと生理学的な反応が出ているのではないか、という考え方もあると友野さんは言う。
「妊娠してから眠くなったという妊婦さんが多いのですが、それは睡眠時間が足りていないというよりかは、単純に睡眠の質が下がってしまっているのが原因です。"睡眠充足感"と呼ばれるものが減ってしまうんですね。この睡眠充足感が高い人ほど、マイナートラブルのリスクレベルは低くなる傾向があるので、いかにして睡眠の質を高めるかが妊婦さんには大切になってきます」(友野さん)。
妊婦の睡眠充足感が下がる理由としては以下が挙げられる。
睡眠充足感が下がる理由
・「女性ホルモン」と称されるプロゲステロンの増加
・こむら返りやむずむず脚症候群
・つわり
・妊娠出産への不安や自律神経の乱れ
・上気道が圧迫されることによる無呼吸症候群
・体勢がつらい
・頻尿などの理由による中途覚醒
どうすれば妊婦の睡眠の質を高めることができるかは次回、紹介したい。
引用元:
妊婦の理想の睡眠時間は? 妊娠すると眠くなる訳を睡眠コンサルタント聞いた(マイナビニュース)