千葉県浦安市が少子化対策として順天堂大浦安病院と共同で進める卵子の凍結保存研究で、十日に開かれた同病院の倫理委員会が女性四人の卵子凍結を承認したことが関係者への取材で分かった。健康な女性が将来の妊娠に備える卵子凍結の是非は妊娠率や健康へのリスクなどの点で学会でも見解が分かれる。「出産の先送りを助長する」との批判もある中、全国初の公費助成による卵子凍結が動きだした。


 凍結保存はがん治療の副作用などによる不妊を避ける理由で始まったが、晩産化が進む中、加齢で妊娠しにくくなる「卵子の老化」が知られるようになり、健康な女性も希望するケースが出てきた。一部医療機関で既に実施、大阪府の四十代女性が凍結卵子で出産していたことが二月に判明した。


 市は二〇一五年七月から共同研究を開始。一五年度から三年間で計九千万円の補助金を交付する。対象は市内に住む採卵時二十〜三十四歳の女性で、妊娠を目指すため凍結卵子を使う場合は、四十五歳までが原則。


 今回承認された四人は病院主催のセミナーで高齢出産のリスクについて説明を聞いた上で、倫理委の審査を受けた。同意書などの確認を経て採卵・凍結へと進む。


 これまでに開かれた七回のセミナーには約四十人が参加しており、今後も共同研究の枠組みの下で卵子凍結が続く見通し。


 市によると、採卵や凍結、保管にかかる費用は一人当たり五十万〜六十万円程度。補助を受ければ自己負担額は注射や投薬など十万円程度になる。


 卵子凍結をめぐっては、日本産科婦人科学会の委員会が昨年二月までに、妊娠率が高くないなどとして、「推奨しない」との見解をまとめた。一方で、日本生殖医学会の指針では容認されており、賛否が分かれている。


<卵子の凍結保存> 排卵誘発剤などで卵巣を刺激し、採取した卵子を液体窒素の中で凍らせ保存する。解凍すれば体外受精が可能で、受精卵を子宮に戻して妊娠、出産を目指すことができる。卵子は細胞膜が弱く、精子や受精卵に比べて凍結保存が難しいとされていたが、技術の改良で可能になった。健康な女性の間にも凍結保存への関心が高まっている。ことし2月、独身時代に凍結した卵子で大阪府の40代女性が出産したことが判明。健康な女性の出産例が明らかになったのは国内初。


引用元:
4人の卵子凍結を承認 浦安市、初の公費助成(東京新聞)