浦安市が税金を投入する卵子の凍結保存研究が本格化した。専門家の賛否は分かれるが、将来の妊娠に備えて凍結保存を希望する女性は少なくない。背景の一つには、仕事と出産育児を両立できる社会環境が整わないことへの不満や苦悩がある。希望者からは「選択肢になる」と期待の声が上がる。
浦安市と共同研究を進める順天堂大浦安病院は2015年7月から希望者向けにセミナーを実施してきた。2月のセミナーで市内の女性会社員(34)は「痛いですか」「(採卵の)リスクは」などと何度も医師に質問した。
岐阜県出身で京都の大学に進み、留学して英語も学んだ。医薬情報担当者(MR)として就職、仕事に没頭して管理職になった。「気が付いたら34歳だった」
キャリアを捨てて子育てを選び、退職した友人や同僚をたくさん見てきた。「子どもを育てながらキャリアを積める社会ではない。女の幸せはいまだに、二者択一なのが現実」と考える。
交際相手との結婚は視野に入れているが、まだ先。「両親に孫を見せたいし、将来は子どもがほしいが仕事もあり、今すぐは産めない。年を重ねれば『卵子の老化』で産めなくなるかもしれない」と訴えた。
東京都に隣接し、東京ディズニーランドで知られる浦安市は若い世代に人気の街だ。だが、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は14年、1・09と全国平均の1・42より低い。市は30億円の少子化対策基金を創設、保育園を増やし産後ケアも充実させた。
ただ、市の新宅秀樹健康福祉部長は「まだ十分ではない。凍結保存は子育て支援の環境が整うまでの間、将来産みたくても今は産めない人への保険になる」と説明する。
女性は、金銭的負担が大きいと諦めていた凍結保存に道が開かれたと感じている。「賛否があるのは知っている。でも、もっと子どもをつくるための選択肢を増やし、諦めなくていいようチャンスがほしい」。近く、正式に凍結希望の手続きをする考えだ。
引用元:
仕事、育児出産 両立できぬ社会 苦悩の女性「選択肢に」 浦安 卵子凍結承認(千葉日報)