子宮内膜症の患者さんでは一定数、不妊症の方がいます。子宮内膜症と妊娠はどのような関係があるのでしょうか?今回は、子宮内膜症と妊娠、不妊の関係について不妊治療も併せて解説します。


◆子宮内膜症と妊娠の関係とは?

子宮内膜症の患者さんのうち、約40%から50%の方が不妊症であるという報告があります。また、原因が明らかではない不妊症の患者さんは、高い確率で子宮内膜症を患っているとも言われています。子宮内膜が本来あるべき子宮以外の場所に移ってしまう病気ですが、なぜ妊娠、不妊との関係が言われているのでしょうか?解説していきます。

まず、子宮内膜症の重症度が高い方では、子宮内膜症が生殖機能として重要な卵巣や卵管を含んで癒着している可能性があり、その結果として不妊につながっている可能性があります。しかしながら、このような重症例ではない場合、どのように説明できるのでしょうか。はっきりしたことはわかっていませんが、現時点考えられているいくつかの不妊症を発症するメカニズムを紹介します。メカニズムについては様々なことが言われていますが、大きく分けると以下の4つになります。
•免疫システムの異常 ◦​免疫システムの異常は、正常であれば外敵から身を守るための防御機構が、何かしらの理由で異常をきたしてしまうことを言います。その代表例が、関節リウマチや全身性エリテマトーデスといった自己免疫疾患で、本来外敵を攻撃するはずの機能が、自分自身を攻撃してしまう病気です。子宮内膜症は、全身性エリテマトーデスの合併率が高いことから、免疫システムの異常が何かしらの形で関わっているのではないか、といわれています。しかしながら、その細かいメカニズムはまだ明らかになっていません。

•卵巣や卵管といった生殖に関わる機能の低下 ◦卵巣や卵管といった生殖に関わる機能の低下は、子宮内膜症の進行とともに患部の病変などが関係し、子宮や卵巣といった臓器の異常をきたすことが考えられています。

•お腹の中に水が溜まることによる影響 ◦​お腹の中に水が溜まることで(腹水と言います)、精子や受精卵の機能や発育を障害する可能性があります。

•子宮内膜の異常 ◦子宮内膜症が、子宮内膜自体に影響し、着床(子宮内膜に受精卵がくっつくこと)の妨げになっていると言われています。


このように、子宮内膜症と妊娠、不妊の関係は様々な原因が考えられています。それでは、子宮内膜症で妊娠できる可能性はどの程度あるのでしょうか。


◆子宮内膜症は治療によって妊娠できる可能性は上がるの?



まず、子宮内膜症であったとしても、治療を行うことで妊娠できる可能性は上がります。過去の調査では、子宮内膜症で不妊症を患っている方の妊娠率は、重症度が低ければ20%、重症度が高いと5%程度であると報告されています。重症になればなるほど、子宮内膜症を治療しても妊娠する確率は低くなる一方で、「妊娠できない」ということではないことがわかります。子宮内膜症の経過は、卵管周囲の癒着の程度に関係することが報告されています。


◆子宮内膜症の不妊治療について解説

子宮内膜症の不妊治療には大きく分けて、ホルモン治療と手術治療があります。日本子宮内膜症協会のガイドラインでは、以下の推奨が記載されています。


軽症から中等症の子宮内膜症では、妊孕性改善のための排卵抑制は無効で、この単独ホルモン治療は推奨できない。公表エビデンスは、より重症の子宮内膜症について言及していない。

軽症から中等症の子宮内膜症で、妊孕性改善のために病巣焼灼と癒着剥離の両方をすることは、診断的腹腔鏡単独と比べて有効。

直径4cmの子宮内膜症性卵巣嚢胞では、腹腔鏡下核出術(cystectomy)が嚢胞内洗浄と凝固(drainage and coagulation)より妊娠率を改善する。

偽嚢胞(pseudo-capsule)を切除せずに子宮内膜症性嚢胞を凝固またはレーザー蒸散することは、嚢胞再発リスクの有意な上昇を伴う。

手術単独、あるいは手術+プラセボと比べて、術後のホルモン治療は妊娠率に何ら効果はない。

つまり、単独のホルモン療法は有効性を期待できない一方で、手術は有効である場合が多いということです。この他にも、生殖補助医療として、人工授精や体外受精などがあります。



今回は、子宮内膜症と妊娠、不妊の関係性について解説してきました。いずれも、非常にナイーブな問題で、妊娠や医療に対する価値観、また不妊治療の費用なども含めて様々な点から決めることになります。よく医師と相談することが大事です。


引用元:
子宮内膜症は妊娠できる病気なの?不妊治療と併せて解説(MEDLEY)