託児サービスを行う図書館が増えている。小さい子どもがいる親たちに、ゆっくり本選びや読書を楽しんでもらう。
多様なサービスを提供することで利用者を増やす狙いがあるが、子育ての支援の場としても一役買っているようだ。
千葉県八千代市立中央図書館の会議室に、乳幼児を連れた母親らが次々とやってきた。室内には柔らかいマットが敷かれ、おもちゃや絵本が用意されている。保育士3人は、子どもの体調などを聞き取った後、「いってらっしゃい」と母親らを送り出した。
同館では昨年7月から、土曜を含む週3日、生後6か月以上の未就学児を対象に無料の託児サービスを行っている。予約は不要で、来館時に申し込む。親は原則1時間、子どもを預けて館内で過ごせる。
長女(11か月)を預けた母親(29)は「育児休業中なので、仕事の勉強時間を持てるのはありがたい」と話す。10回ほど利用したという母親(43)は「託児の利用をきっかけに、ママ友ができた」と笑顔を見せた。
託児サービスの利用者数は月120〜160人程度という。館長の出光良さんは「乳幼児を持つ親は『子どもが迷惑をかける』と図書館への足が遠のきがち。様々な世代に利用してほしい」と話す。
文部科学省は2012年、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」に、乳幼児と保護者向けの読み聞かせや、託児サービスの実施を盛り込んだ。託児サービスがある図書館は三重県桑名市、福岡県大野城市、熊本市などにも広がっており、東京都荒川区も託児室を整備する予定だ。
横浜市の市立山内図書館では月2回、市内の母親グループが館内の集会室で利用者向けの託児サービスを行う。利用料は1時間500円。地域の子育て情報も得られると好評という。このほか、同館では毎月、親子向けに紙芝居などの「おはなし会」も実施する。
託児スペースを設けられない中、工夫する施設もある。
東京都文京区立小石川図書館では週1回、保育士資格や幼稚園教諭免許を持つスタッフが待機する。
同館は4階建てでエレベーターがないため、スタッフが一時的に乳幼児を抱っこしたり、親子と一緒に絵本探しをしたりといったサポートを行う。区内の子育て施設や様々な相談先を紹介できるよう、チラシなども用意している。
関西大学教授の山縣文治さん(子ども家庭福祉)は図書館での託児サービスについて、「親が安心して子どもを預けて一息つける時間を持つことは、良好な親子関係につながる」と評価する。その上で、「今後、保育所や児童館などと連携を深めていけば、行政の子育て支援の幅がより広がる」と提案している。(矢子奈穂)
引用元:
「託児図書館」でゆっくり読書…子育て支援の場にも(読売新聞)