−−若いうちからできる更年期対策は?

 女性ホルモンが引き起こす心身の不調には、程度も症状の表れ方にも個人差があります。

 まずは自分の体や心の周期を知ることが大切です。簡単な日記のように、その日の(1)体調(2)気分(3)出来事を数カ月記録してみましょう。よく眠れたか、朝はすっきり起きられたか。食欲、だるさ、イライラ、何でも構いません。

 月経周期を把握している人は多いかもしれませんが、自分の体調や精神状態が、どの時期にどのように表れるかを知らない人は意外と多いようです。記録を続けると、出来事が原因で起こる不調と、ホルモンによる周期で起こる不調の差が分かるようになります。

 自分の周期を知れば、仕事のペースや内容を調節することができるようになります。また不調の原因が分かることで、できないことへのストレスや不安感が解消されたり、家族への接し方や家事や育児のペースもコントロールしやすくなったりします。

 そのうえで、何かあれば婦人科を受診してください。受診の際には、自分の体調や精神状態などを記した記録を持って行くといいでしょう。かかりつけの婦人科を探すには、定期健診の受診がおすすめです。更年期症状は決め手がないため、受診して初めて別の病気が見つかるケースもありますし、仮に更年期の不調だったとしても今はホルモン補充療法などの治療法もあります。

 −−キャリアの面では?

 「キャリアの前倒し」という発想が必要です。女性は妊娠・出産、月経前症候群、更年期症状−−と、女性ホルモンにまつわるさまざまな体調の変化を経験することになります。

 その度、女性は仕事のペースを緩めたり加速したりしなくてはならないわけですが、体調面で予測できることは予測して、事前にキャリアや職場での信頼を貯金しておきましょう。若いうちに多くの苦労や経験を積み、管理職など責任ある仕事を打診されても、勇気を持って挑戦してみては? 

 相談先を確保することも大事です。勤め先に健康について相談できる窓口や医師がいる場合は、そうした仕組みを利用するのもいいでしょう。後は女性の先輩や同僚で、日ごろから何でも相談できて信頼のおける相手を見つけておくのもいいかもしれません。

 私のところに相談に来る方の中には、誰にも相談せずに仕事を辞めてしまった、という方も少なくありません。なぜもっと早く相談しないのか、もったいなく感じます。何があっても仕事を続ける選択肢が持てるような状態をあらかじめ整えておきましょう。

 −−更年期の不調が昇進辞退や退職に結びつくケースもあります。

 そうなる前に、必ず誰かに相談しましょう。家族やパートナーと、事前に仕事や体調面について話し合っておくことも必要です。予測される今後の自分の体調と、出産、育児、介護、仕事などについて、どうしたいか、どのようなサポートが欲しいか、一緒に将来設計を考えましょう。

 職場では今後、団塊ジュニア世代が更年期に差し掛かってきます。今春には女性活躍推進法も施行され、女性の健康や働き方について考えるには恵まれた環境が整いつつあります。

 そういえば、女性が管理職になりたくない理由として挙げる「自信がない」という言葉を、「女性に意欲が足りない」と見る向きがあり、少し気になっていました。

 一般的に更年期は45〜55歳と言われていますが、これも個人差があります。管理職に登用される時期もこれにかぶっていることも多く、体調面の不安から昇進を断るケースが多いのも現実です。また近年、この年代の女性は育児や介護を抱えていることもあり、自分の体調や家族の事情を鑑みて、管理職という重責をこなす「自信がない」という発言につながることも多いのです。

 単に女性側の意欲や能力だけの問題ではなく、意識改革やスキルアップだけでは解決しないという点を指摘しておきたいと思います。



引用元:
女性の更年期 若いうちからできる対策は(毎日新聞)