いまや日本女性の12人にひとりが乳がんを患うといわれる時代。

罹患率がピークを迎えるのは、女性の40代後半から50代前半(国立がん研究センターがん対策情報センター調べ)で、更年期前後の発症が多くなっていることがよくわかります。

乳がんリスクを高める要因としては、年齢や遺伝以外にも、環境的なものとして、アルコール、ホルモン入り避妊薬、タバコ、肥満などが過去の研究で挙げられています。

生活習慣の見直しが予防につながる

その影響についてさらに詳しく調べた研究が、2月4日に「International Journal of Cancer」に報告されました。それによれば、更年期以降の乳がんのリスクは、食事内容を変えるだけで10%も減らすことができるとのこと。

Inserm(フランス国立保健医学研究機構)が67,634人の女性を対象に15年行ったこの研究。代表のFrançoise Clavel-Chapelon(フランソワーズ・クラヴェル=シャプロン)氏は、


更年期以降の女性については、罹患患者の半数以上(53%)は、日常生活を変えることで、癌を避けることができた

「Journal des Femmes」より翻訳引用

と考えています。

乳がんリスクを減少させるために気をつけたい3点

Le Journal des femmes誌のインタビューに答えた同氏によれば、特に重要な影響を持つ生活環境は下の3点です。

1.食事内容


まず、バランスのとれた食事。これにより、統計によれば、10%の乳がんを防ぐことができます。

「Journal des Femmes」より翻訳引用

研究において区別されたのは、西洋的食事(加工済みの食料品、ハムやソーセージ、バターなど)と地中海的食事(野菜と果物、魚、オイルが豊富)で、乳がんリスクを減少させるのは、後者タイプの食事とされています。

フランスでの研究なのでこういう2つのタイプになったのでしょうが、和食であれば地中海料理よりさらに野菜が多く、好影響を与えそうに思えます。

2.アルコールはグラス1杯まで


次に、アルコールの摂取。1日に飲む量を、グラス1杯以上から、1杯未満に変えることで、乳がんのリスクを5%減らすことができます。

「Journal des Femmes」より翻訳引用

より正確には、5.6%のリスクが減少できるという統計が出ています。アルコール摂取が一切駄目というわけではなく、グラス1杯の楽しみは取っておけるのであれば、思ったより楽にセーブできそうです。

3.BMI指数は25まで


最後に、肥満は、乳がん罹患率を高くします。更年期以降のBMI(ボディマス指数)が25より低ければ、乳がんのリスクは減ります。

「Journal des Femmes」より翻訳引用

BMI25なら、それほど厳しい数値ではありません。肥満女性の多い欧米と比べて、ほっそり型の多い日本女性。

乳がんリスクを減らすために、慌ててダイエットする必要はなさそうですが、数値を知っていると体重管理のひとつの指標にできそうです。

少しの意識で未来が変わる

どんなに優れた研究がされても、残念なことに、専門分野の成果についてはなかなか速やかに一般には伝わらないものです。

クラヴェル=シャプロン氏は、自身も女性ですが、女性のがん研究の道に入ったのは、母親をがんで失ったことがきっかけだったと言います。

がん予防に心を砕く同氏は、この研究結果についても、できるだけ広く、世界の女性に知ってもらいたいと考えています。

食事内容、アルコール摂取量、体重管理という、自分でコントロールできる範疇の注意点で乳がんリスクを減少できるなら、ぜひとも試す価値があるように思います。

更年期以前の影響についてははっきりとした傾向が確定できなかったそうですが、いずれは訪れる更年期。どんなことに気をつけるべきなのか、いまからしっかり意識しておきたいものです。


引用元:
乳がんリスクに立ち向かうために、すぐできる3つのこと(cafeglobe)