米国で、将来の出産に備え卵子の凍結保存を希望する女性に雇用主が費用を補助する動きが出ている。2014年に導入を明らかにしたIT企業フェイスブック、アップルに続き、今年1月には米国防総省が現役兵士の精子と卵子の凍結保存費用を負担する方針を発表した。


 有能な働き手を引きつける手段として今後拡大するか注目される一方、成功率が不確かな中で出産の先送りの推奨につながらないかや、他の倫理問題が発生する懸念を指摘する声もある。


 卵子を凍結保存するには、排卵誘発剤で人工的に成長させた複数の卵子を女性の体から取り出し、液体窒素入りのタンクの中で保管する。理論的には半永久的に保存できるが、新しい技術であるため、解凍した卵子のどれだけが実際の出産に結びつくかの成功率がはっきりしておらず、費用も非常に高額だ。


 治療の副作用などで排卵できなくなる女性がん患者を中心に利用されてきたが、仕事と妊娠出産の両立が難しいことなどを理由に利用を希望する女性も少なくない。


 企業などでの利用者数ははっきりしないが、巨大組織である米軍の兵士が利用すれば相当な数に上る可能性がある。


 米国の生命倫理学者は米メディアに対し「保存した当事者が死亡したり、認知機能が損なわれたりした場合にどうするかなど、難しい問題が生じ得る」と指摘している。


 卵子凍結は日本でも主にがん患者らが治療前に利用しているが、独身時代に凍結した卵子を使って結婚後に出産した40代の女性のケースが今年2月に明らかになり、注目された。





引用元:
米で卵子凍結に補助拡大か有名企業、軍隊も(47News)