総合病院とクリニック 能力の底上げ期待
母親と赤ちゃんによりよいケアを提供できるようにと、県内の総合病院と産婦人科クリニックの間で助産師を派遣し合う研修事業が本格的に始まった。助産師全体のスキルアップを図りつつ、助産師不足の解消にも役立てる。関係者は「助産師が力を養い、母子がよりよい環境で出産育児をスタートできるようサポートしたい」と期待を込める。(小室亜希子)
野々市市の「ののいち産婦人科クリニック」。ナースセンターでは、金沢市立病院の助産師、中障子佳代子さん(41)がクリニックのスタッフとともにテキパキと動き回っていた。
中障子さんは新卒で市立病院に勤め、助産師や看護師として働いてきた。だが数年前に産科が一時閉鎖された影響で、受診する妊婦は減少。一方で助産師が妊婦健診を行う「助産外来」が昨年秋から始まり「もっとスキルを上げたい」と研修に手を挙げた。
今月から一カ月間の研修に取り組む中障子さんは「お母さんが息まなくても、赤ちゃんが自然と生まれてくるお産に感動した。助産師たちのいくつもの技を、日々目の当たりにしている」と目を輝かせる。
助産師の相互研修の取り組みは県看護協会が二〇一三年度から始めた。大きな病院はリスクの高い分娩(ぶんべん)を扱うケースが多く、正常分娩の経験は積みにくい。一方、クリニックでは正常分娩が多く、ハイリスクは少ない。互いの助産師を派遣し合うことで能力を底上げし、産科医療体制を強くするのが狙いだ。
一五年度は県が協会に委託する形で事業を実施し、中障子さんを含め計三人が一〜四カ月の研修に取り組んだ。さらに一人が現在研修に向けて準備している。
新卒の助産師の多くが総合病院に就職する中、人手不足に悩むクリニックにとって、研修事業は短期間でもスタッフを確保できるメリットもある。ののいち産婦人科クリニックの炭谷みどりさん(44)は「何とかこのシステムを成功させ、より温かみのあるケアの提供につなげたい」と話す。
現在は「総合病院→クリニック」という一方通行だが、逆のパターンも模索している。施設間のコーディネーターを務める県助産師会の加藤和子会長は「どこで働いても助産師が力を発揮でき、母子が安心してケアを受けられる体制を目指したい」と話している。
引用元:
助産師の相互研修開始 県内で安心ケアのお産を(中日新聞)