妊娠中の女性がインフルエンザにかかった場合、抗ウイルス薬タミフル(一般名:オセルタミビル)を用いて早期に治療することによって、特に重症患者の入院期間を短縮できることが、新たな研究で示された。著者らによると、妊娠女性はインフルエンザの重症化、合併症、死亡のリスクが高いという。


画像提供HealthDay今回の研究では、米国14州で2010〜2014年にインフルエンザで入院した妊娠女性865人を対象とした。63人が重症患者であった。重症患者のうち、インフルエンザの発症から2日以内にタミフルによる治療を開始した群では入院期間の中央値は2.2日であったのに対し、それ以後に治療を開始した群では7.8日であった。

この知見は、「The Journal of Infectious Diseases」オンライン版に2月3日掲載された。

インフルエンザが比較的軽症だった女性でも、タミフルによる治療を早期に開始した群では治療開始が遅かった群よりも入院期間が短かったが、さほど大きな差は認められなかった。

「妊娠中に女性がインフルエンザになった場合、抗ウイルス薬による治療は入院期間の短縮の面で相当の便益があると考えられる」と、研究の上席著者である米疾病管理予防センター(CDC)のSandra Chaves氏は述べ、「早期に治療するほど、疾患経過を改善できるチャンスが大きい」と付け加えている。

CDCは、インフルエンザの疑いのある妊娠女性は、診断の確定を待たずに、できる限り早く抗ウイルス薬による治療を受けることを勧めている。

さらに今回の研究では、重症のインフルエンザで入院した女性は、比較的軽症だった女性に比べ、予防接種を受けている比率が低いことが判明した(14%対26%)。CDCは、妊娠女性はもれなくインフルエンザワクチンを接種する必要があり、ワクチンは妊娠中のどの時期でも受けることができると述べている。これまでの研究では、妊娠中のワクチン接種により、母体だけでなく新生児も生後6カ月間は効果が得られることが示唆されている。

今回の研究は米CDCの支援により実施されたものであり、著者らに利益相反はないとされている。(HealthDay News 2016年2月9日)



引用元:
妊婦のインフルエンザ発症初期にタミフルが有効(医療NEWS)