「水銀」と聞くと、高度経済成長時代の公害を思い浮かべる人もいるかもしれません。けれど、私たち日本人と水銀は今でも近い距離にあることをご存じでしょうか?

今回は、妊婦さんや近い将来妊娠を望んでいる女性も気をつけたい“水銀の危険性”と対処法についてお伝えします。



■寿司を食べると水銀の摂りすぎになる?

日本人は水銀を多く摂取している民族だと言われています。その理由は魚介類を多く食べること。

アン・ハサウェイが主演し、去年ヒットした映画『マイインターン』の中で、sushi(寿司)を食べに行こうと誘われた主人公が「水銀のとりすぎになるからやめておくわ」と断ったシーンがありました。それぐらい、海外では魚介類=水銀というイメージがついています。

実際、厚生労働省が行った『魚介類の摂食と水銀に関する対応について』の調査でも、日本人は水銀の80%以上を魚介類から摂取しているということが判っています。



■「水銀摂取」が妊婦に与える影響

海外で水銀の規制が進む中、日本でも平成十七年に厚生労働省から「妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項」が発表され、注意喚起が行われています。

この文章の中では、胎児への影響として「音を聞いた時の反応が1/1000秒以下のレベルで遅れる可能性がある」とだけ書かれており、大した影響はないような印象を受けます。しかし、水銀が胎児へ与える影響はまだわかっていないものも含め、多くあると言われています。前述したとおり、水銀は過去に歴史に残るような公害事件を起こしたような物質でもあるのです。

水銀は胎盤を通過し、胎児へと移っていきます。大人はある程度水銀が入ってきても外へ排出する力を持っていますが、胎児は感受性が高く、影響を受けやすいと考えられています。また、最近では不妊の原因になっているのではないかということも言われています。

■水銀の危険性をどう防ぐ?

簡単に考えれば、妊娠中は魚を食べなければ良さそうですが、それは解決策として良くありません。魚の中には水銀以外にも良い働きをしてくれる栄養素がたくさん入っているからです。特に、DHAは胎児の脳の発達を助ける効果が期待できることから、サプリメントとしても人気の成分です。

魚を食べる時に注意すべきは、その大きさ。自然界では、生物濃縮といって、小さな生き物を大きな生き物が食べて、体内の物質がどんどん濃くなっていく現象があります。

厚生労働省の調査でも、クジラやイルカは圧倒的に水銀が多く、魚ではマグロやカジキなど大型の魚に多いことがわかっています。魚を食べる時はアジやイワシなどの小型の魚もバランス良く食べるようにしましょう。

また、DHAを意識してとりたい場合は、魚をたくさん食べるよりもサプリメントを利用するのが賢明です。サプリメントのDHA成分も魚から抽出していますが、市販されているものからは水銀が検出されていないようですのでより安全と言えるでしょう。ただ、信頼できるメーカーのものをご自身で選んで使用することをオススメします。



いかがだったでしょうか。

極端な食べ方をしなければ、それほど魚介類に対して敏感になる必要はありません。しかし、現段階で体内に溜まっている水銀の量にはかなり個人差があります。心配は方は、毛髪ミネラル検査という方法で、体内に溜まっている水銀の量を推定することが可能なので、一度受けてみても良いかもしれません。



引用元:
妊娠中の「水銀摂取」がカラダに与える影響は?知っておきたい対処法(It Mama)