晩婚化が進むと同時に、出産も高齢化がかなり進んでいます。高齢出産では出産のリスクが高まると言われていますが、「だからと言って今は仕事があるし、今すぐ結婚・妊娠なんて考えられない」という方は“卵子凍結保存”を考える方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今日は、予防医学に詳しい医学博士 川上先生監修の元、卵子凍結保存による妊娠の確率や不妊治療の助成金などについてお伝えします。



■不妊に悩む人は実際どれくらいいるの?

ご存知の通り、高齢になるにつれて妊娠する確率が低くなってしまいます。

全体の不妊人口も年々増えており、体外受精による出生時数からもその傾向がみてとれます。日本産婦人科学会の集計によれば、2005年(19,112人)から2010年(28,945人)で体外受精による出生児数が約1万人増加し、全体の総出生児数に対する体外受精児の割合は1.8%から2.7%へといずれも増加しています。

また、国立社会保障・人口問題研究所の調べでは、不妊を心配したことがある(または現在心配している)夫婦の割合は31.1%、子どものいない夫婦ではこの割合は52.2%にのぼるとされています。

また、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は全体で16.4%、子どものいない夫婦では28.6%という結果が出ています。

総合的にみると、不妊を心配したことのある夫婦は3割、子供のいない夫婦では半数という結果でした。



■卵子凍結保存による「妊娠率」はどれくらいなの?

御夫婦で凍結保存をおこなう際には、まず女性側にホルモン剤を打ち、卵子をたくさん出るように誘発させ、採取した卵子を使って体外受精をおこないます。

その体外受精後の受精卵を凍結保存した場合ですと、妊娠率は約20%とされています。

ただし、まだ結婚の予定はないが、若いうちの良質な卵子を保存しておいて、将来的に保存しておいた卵子を使って妊娠を望む場合になると、未授精卵子を凍結保存することになります。

この未受精卵子を凍結保存した場合になると、解凍・体外受精後の妊娠率は5〜10%と、凍結受精卵よりも低くなると予想されるようです。

なぜこの違いが生まれるかというと、卵子はすべてが受精卵になれるわけではないからです。受精卵になれる卵子は質がよいものだけで、いくら体外受精を試みても、受精できない卵子が存在します。

また卵子は若いからと言え、妊娠する時の年齢は当時よりも高齢になっていますので、その分子宮の状態も高齢になっています。

子宮の状態は赤ちゃんの発育にとって重要になりますから、卵子が若いだけでなく、子宮の状態も考えて妊娠を計画したいものですね。

■○歳以降は助成ナシ!? 不妊治療の助成金事情

国の不妊治療助成金の窓口が都道府県になっているのですが、実は住んでいる市区町村によっても、国の助成金制度とは別に不妊治療に助成金が出る制度を設けている場合があります。

例えば東京港区ですと、年間最大30万円の助成があるのに対して、品川区は年間最大10万円、目黒区は助成なし等自治体によってかなり差があります。

千葉県浦安市からは卵子凍結保存に関して助成金が出るようで、市内在住の女性は保険適用と同等の3割負担で利用できるそうです。

卵子凍結保存は高い場所で100万円程かかる場合もありますので、3割負担になるとかなり助かりますよね。

そして残念なことに、東京都福祉保健局によると平成28年4月以降は、43歳のお誕生日以降に開始した治療については助成金の申請はできないとのこと。



いかがでしたか。

不妊治療や、妊娠自体に踏み切るのは決心も必要ですが、何年も見送って年齢を重ねることで、妊娠率も下がる他、助成金も出なくなるとなれば、早めに踏み切るという決断も重要になるのかもしれませんね。




引用元:
卵子凍結保存での「妊娠成功率」ってどのくらい? 年齢で変わる不妊治療の助成費事情(It Mama)