筆者は0歳の姪に毎月、会うのを楽しみにしている。毎月、毎月、姪ができることが増えていくのが「すごいな」と感心してしまう。一番驚いたのが、生後4カ月のタイミングだった。それまでは、笑いかけた人にニコっと笑い返すだけだったのが、「キャッキャッキャ! 」と声を上げて笑うようになったのだ。

 何に対して笑ったのか。そう、あの定番の「いないいないばあ」である。ベビーベッドの横から、ぱっと現れた筆者の顔を見て笑ったのだ。


ダーウィンもフロイトも研究した「赤ちゃんの笑い」

 進化論を唱えたダーウィンや精神分析学者のフロイトなど、これまで多くの研究者が赤ちゃんの笑いを研究してきた。フロイトは「人間の笑い」について「人は優越感に浸った時に笑う」という理論を展開していた(※1)。他人の失態やアクシデントを見た時に、笑ったり、面白がったりするからだ。

 ロンドン大学心理学部のキャスパー・エディマン博士も赤ちゃんの笑いについて興味を持っている1人だ。自分のウェブサイトを通じて、世界中の1,000人以上の親から「いつ、どこで、なぜ」赤ちゃんが笑ったかについてのアンケート調査を行い、分析している(※1,2)。


赤ちゃんが確実に笑うのは「いないいないばあ」

 赤ちゃんが笑顔を見せるようになるのは生後6週間ぐらいから。その後、生後3カ月半から1年ぐらいで、声を上げて笑うようになる…調査結果はこう報告している。

 また、「いないいないばあ」は、世界各国共通で、確実に赤ちゃんが笑う方法であることが分かった。姪が笑ったのは、当然の結果だったのだ。また、「くすぐる」にも効果があることも多くの親から報告されていた。


赤ちゃんの笑いは“社会的”

 ポイント は、赤ちゃんは「誰かと一緒に」「その人がしていることに対して」笑うことが分かったことだ。縫いぐるみのような「物」を使って「いないいないばあ」をする時よりも、お母さんやお父さんをはじめ「人」が「いないいないばあ」をした時の方が笑うのだ。

 「くすぐり」も同じで、くすぐったいという感覚で笑うというより、周りの誰かが自分をくすぐっていることに対して笑っているのだという。赤ちゃんは、周りの誰かが楽しそうにやることに対して笑うのだ(※1)。

 また、赤ちゃんは他人が転んだ時や、他人が悲しい時には笑う傾向がなく、むしろ、自分が転んだ時や他人がうれしい時に笑う傾向があるという。「優越感に浸った時に笑う」というフロイトの理論は、赤ちゃんに関してはちょっと違っていたようだ。

 赤ちゃんに限らず、子どもたちは大人よりもよく笑う。なぜか。エディマン博士は「より幸せだから」だと言う(※2)。忘れてはならないのは、その笑いの根源が、周りの大人の笑顔にあるということだ


引用元:
赤ちゃんはなぜ笑う? 世界共通だった深くて可愛いその理由とは(CIRCL)