「尊厳死」が、2018年1月から韓国で合法化となることがきまった。日本国内における法改正の影響はあるのだろうか。

韓国国会は延命治療の中断、尊厳死をもりこんだ「ホスピス・緩和医療及び臨終過程にある患者の延命医療決定に関する法律案」を8日、通過させた。
本会議では、202名/203名が賛成(※棄権1名)という結果になり、尊厳死法は2018年1月から適応されることが確定したと韓国メディアが報じた。

尊厳死法は文字通り、医師の診断によって回復の可能性がないと診断された患者に限り、蘇生術や抗がん剤投与、人工呼吸器の着用などを開始しなかったり、中断したりできるもので、それによって家族と医師は処罰を受けないという法律である。

こうした尊厳死の是非については現在、国内外問わず「本当に患者の意思を尊重するものなのか?」という議論が交わされている問題のひとつなのだ。

尊厳死法・反対派にみられる意見
「尊厳死法の反対」にはいろいろな意見がみられているが、つまるところこういうことである。

尊厳死法が成立した場合。家族や、社会の支援さえあれば、「本当は延命を希望したい」と思っている人まで、支援不足や圧力のため、延命を諦めかねない。
本当は苦しくても少しでも長く生きていたい。けれど、尊厳死法が国内で通過すれば、周囲の圧力からそれを言い出せない状況を作ってしまうのではないか?それは、本当に本人の意思を尊重しているといえることなのか?
たしかに、そのケースは否定できない。

ちなみに2012年3月13日、日常的に人工呼吸器、経管栄養などを必要とする子どもたちとともに歩んできた立場から、人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)は、国会議員に「尊厳死法反対を求める意見書」の配布をおこなっている。配られた意見書には、下記のようなことが記載してあった。

法律ができてしまえば、人工呼吸器や経管栄養の助けを借りて生きている人たちに対して『「自己決定」のもと「尊厳死」を選択している人たちがいるのに、『なぜそうしてまで生きているのか、なぜ死なないのか』という社会の無言の圧力がかかることは必至である。
法案では、「適切に治療しても患者が回復する可能性がなく、死期が間近と判定された状態を『終末期』と定義」されているようですが、人の命とは、専門家といえども簡単に推し量ることなどできないことをバクバクっ子たちが証明している。
バクバクっ子のほとんどは当初、医師より生命予後不良との宣告を受けていた。
その生き抜く彼らの姿から、生きても仕方のない命など一つもないことを私たちは教えられた。
さらに、彼らの未来を阻む最も大きな障壁は、彼ら自身の障害や病気などではなく、わたしたち家族を含めた社会の「重い障害や、病気を持って生きることは尊厳がない」という決めつけであることにも気づかされた。
日本尊厳死協会副理事長;長尾和宏医師でさえ「末期を定義するのは非常に困難だと思う。死んでからしか分からない。死んだらあの時が末期だったということです。」(7月3日東京弁護士会主催シンポジウム)と認めているとし、尊厳死法制化に対し強く反対している。

アメリカの事例
アメリカでは2015年10月5日、安楽死・尊厳死の合法化がおこなわれている。
「死ぬ権利」が認められたのはオレゴン・モンタナ・バーモント・ワシントンに次ぎ、5つ目の州となっている。

アメリカにおいて、死ぬ権利が得られる条件はこれら二つである。

2名の医師から余命6ヶ月未満の宣告を受け、目安15日後までに要求書を作成する
患者自らが「死ぬ権利」の選択を決める能力があり、口頭で2回要請すること
法案設立には 障害者団体や、カトリック教会らが反対していたが、キリスト教の神学校に通っていたカトリック教徒である、ブラウン知事が法案に署名した。

知事は当初、数週間悩み抜いたが、「もし、私が長期にわたる耐え難い痛みでに向き合っているとき、どうするかはわからない」と話し、「この法律によって安心する人もいるだろうと思う。私はその権利を否定しない」と述べた。

こうした「死ぬ権利」を巡る法案は、多形性膠芽腫という末期の脳腫瘍を患っていたブリタニー・メイヤードさん(29歳)が、『尊厳死の合法化』を求めたことに始まっている。
彼女は、「私は2014年11月に死にます」と、尊厳死を選択することを公表し、カリフォルニア州から尊厳死が合法化されていたオレゴン州に移り、服薬の後死去した。

死の直前に、電話でブラウン知事に尊厳死を認めるよう働きかけていたそうだ。日本でも近い将来、尊厳死法が認められそうな気がしてならない。

【出典】

人工呼吸器をつけた子の親の会、「改めて尊厳死の法制化に強く反対します」、立岩・有馬編 前掲書(2012)

引用元:
「尊厳死」が、2018年から韓国で合法化となる。(imedi)