先日、福井大学の研究チームが“腸内細菌が少ない母親から生まれた子どもに発達障がいが現れる可能性がある“と発表しました。これにより妊婦と発達障がい児を持つ親に動揺が走りました。

今日は、自らも自閉症児の息子をもつ『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が障がいを解明するニュースの読み解き方についてお話します。



■「極端な解釈」による言葉の一人歩き

“○○が原因で子どもが○○になる“といった記事が流れると、その言葉が独り歩きすることがあります。以前は毛髪診断で水銀量を調べた結果、“自閉症の原因は水銀である。キレート剤で毒素を出すと自閉症は改善する“と騒がれてキレート療法なるものも溢れました。そして、今回は腸内細菌です。

けれども実際、研究内容をよく読むと“腸内細菌の減少、バランスの乱れはあくまでリスクの一つ”とだけ言っています。そもそも、妊婦は胎児のためにも肉ばかりでなく野菜、乳製品、糖質など栄養のバランスの良い食事をとることは大事なわけです。しかも、この研究結果はあくまでもマウスでの結果であり、人で実験したのではありません。



■妊婦と発達障がい児を持つ親の動揺

毎日必死で発達障がい児を育てている母親は、こういった発表がされるたびに「私が妊婦のとき栄養バランスに気を付けていれば……」と更に自らを責めてしまうこともあります。また、妊婦の中には腸内細菌を良くするためにヨーグルトさえ食べていれば自閉症児が生まれるのを回避できると拡大解釈し、ヨーグルトを大量に食べる人も出てきてしまうかもしれません。

そうして偏った食事をして今度は牛乳アレルギーの子どもが生まれるリスクもあるかもしれないのです。

今の時代“自閉症は愛情不足が原因である”などと時代錯誤的なことをいう人はほとんどいませんが、母親に原因があると言っている点で同じことだと思います。

少数派の発達障がい児は日常生活を送る上でも学校生活でも生きにくい面が確かにあります。また、親も「できるならば発達障がい児でなかった方がよかった」と思っている人も多くいます。そんな中、“可能性がある、ない”程度の研究結果であれ、世に出されればその情報に振り回され、自分を追い込んでしまう人もでてきてしまうのです。



■発達障がいの原因は?

現代の医学でも発達障がいは脳の機能障害であるとされていますが、何が原因であるかは解明されていません。病気ではない先天的なものなので治療法もありません。

ただある対応法として、子どもを変えようとしないで、周りの人間がその子どもの特性を理解した子育ての仕方にスイッチを切り替えることだけです。音に敏感な子どもであれば耳栓を付けさせたり、同じ道順しか通れなければそこを親子一緒に通ってあげるなどです。

こうすることで不安やパニックに陥ることが減り、子どもは平穏に生きられます。それが早期発見の意義でもあり、早期発見した後は療育に通い、子ども自身の訓練だけでなく親も知識を得て配慮した子育てができるようになる人もいます。

原因究明しても既にいる子どもをどうこうはできないのです。



いかがでしたか。

ヨーグルトを食べていれば発達障がい児は生まれない。ヨーグルトを食べないと発達障がい児が生まれてしまうなんてことはないのです。

それから、発達障がいを“病気だ”と言う人がいますが、こうなると“病気は治る”、“努力させればいつかは健常児になる”の誤解も生まれます。溢れる情報に惑わされずに、社会全体が少数派も受け入れるようになることを望みます。



引用元:
ヨーグルトを食べないと「発達障がい児」が生まれてしまうの!?(It Mama)