会社員らの子育てを支援するため、国と企業が費用を出し合って実施しているベビーシッター割引券の補助事業について、厚生労働省が来年度から企業負担を軽減することが23日、分かった。現行制度で約66%に上っていた企業側の費用負担の上限を約10%まで引き下げる。企業負担は今年度から導入されたが、申請を控える企業が続出し割引券の利用が前年度の約9分の1に激減。「女性の活躍推進に水を差す」との批判もあり、わずか1年で制度が改められることになった。

 割引券は厚労省の委託を受けた「全国保育サービス協会」が企業の申請を受けて発行し、利用者は企業を通して交付を受ける。平成28年度予算案に「ベビーシッター利用者支援事業」として3億8千万円を新規計上し、最大で補助額の約66%に達していた企業の負担率を約10%に抑える。割引券の補助額も現行制度の1回当たり1700円から2200円に引き上げる。

 シッター補助をめぐっては制度が二転三転し混乱を招いた経緯がある。26年度までは企業が少子化対策のため国庫へ納める拠出金から全額を支出。しかし27年度からは「子ども・子育て支援新制度」の導入で拠出金の活用が認可事業に限られたため、認可外のシッターへの補助が廃止された。
 厚労省は事業継続のために補助額の一部を企業が負担する仕組みに切り替えたが、割引券の利用を福利厚生の対象から外す企業が続出。26年度以前は4〜11月の8カ月間に例年約6万7千枚だった利用実績が今年度は同期間に約7300枚にとどまっていた。

 厚労省の担当者は「結果的に予想を上回る企業が申請を控えるようになった。来年度から企業の負担率を引き下げるので支援を期待している」と話している。(中井なつみ)


引用元:
ベビーシッター補助の企業負担を最大1割に引き下げ 利用者激減受け 厚労省 (産経新聞)