さまざまな組織や細胞になるとされるヒトの胚性幹細胞(ES細胞)から、脳にある中枢器官「下垂体」の組織をつくることに名古屋大と理化学研究所の研究グループが成功し、14日付の英科学誌電子版に発表した。グループは2011年、マウスのES細胞で下垂体の組織作製に世界で初めて成功した。ヒトのES細胞でも世界初という。

 下垂体は、生命維持や成長に必要なホルモンを分泌する器官。名古屋大の須賀英隆助教は「下垂体の機能が低下し、血圧低下や意識障害、不妊などに悩む患者への再生医療の道が開ける可能性がある」と話した。

 研究グループは、マウスの実験で培った技術を応用。細胞の増殖を刺激する物質の量や投与時期を変えて実験を繰り返し、ヒトのES細胞から下垂体の基になる組織を作り出すことに成功した。

 さらに約50日にわたり、この組織を培養すると、6種類のホルモンを分泌する細胞にそれぞれ分化。このうち副腎皮質刺激ホルモンなど成長や生命維持に関わる重要な2種類が実際に分泌されたことを確認できた。

 下垂体を除去したマウスは9週間で全て死んだ。一方、除去後に副腎皮質刺激ホルモンを分泌する細胞を移植したものは、14週間たっても9割近くが生存。生体内でも機能することが確認された。


引用元:
ヒトES細胞から脳の下垂体組織を作製 理研など世界初 (日本経済新聞‎ )