暖冬の影響で、季節性インフルエンザの全国的な流行が遅れている。例年12月には流行入りが発表されるが、今年は9年ぶりに年を越しても発表されず、厚生労働省が7日公表した最新の患者数も流行入りの目安に達していなかった。ただ過去には流行が遅れてもその後急増したシーズンもあり、医療関係者は早めの予防接種を呼びかけている。
「年末年始はインフルエンザの患者が多いものだが、今年はガラガラ」。7日、東京都文京区の細部小児科クリニックの細部千晴院長はこう話した。感染性胃腸炎の患者数は例年通りだが、インフルエンザ患者の少なさが際立つという。
厚労省が7日発表した、約5000ある定点医療機関からの昨年12月21〜27日(第52週)の患者報告数は3734人。1医療機関あたり0・76人で、前週の0・46人より増えたものの、流行入りの目安となる1人を依然下回っている。過去5年、同時期の報告数は9000人余りだった2013年を除いて1万人を超え、爆発的に流行した14年は13万人超に上った。同年は11月に、他の年も12月には流行入りした。
一般にインフルエンザは寒さが厳しく、空気が乾燥する12月から翌年3月にかけて流行する。国立感染症研究所感染症疫学センター(東京)の砂川富正・第2室長は「湿度が低く、乾燥状態が続くと、喉や気管支の防衛機能が低下し、感染が起こりやすくなる」と流行のメカニズムを説明する。
インフルエンザウイルスと気象との関連などを研究している大橋唯太(ゆきたか)・岡山理科大准教授は今冬の流行遅れについて、「11月から12月にかけて全国的に高温多雨の傾向が続いたこと」を一因とみる。大橋准教授によると、12月は全国的に降水量が例年より多く、日中の気温も高かったため、大気中の水蒸気量が増えたという。この多湿環境がウイルスの感染拡大を抑えたと分析する。
国立感染症研究所によると、近年も04〜05年と06〜07年は流行入りが年を越したが、05年は1月下旬以降、感染者が急増し、07年は春以降も流行が続いた。砂川室長は「インフルエンザの抗体ができるまで時間がかかる。できる限り早めに予防接種を受けてほしい」と呼び掛けている。【山崎あずさ、久野華代】
引用元:
インフルエンザ 流行まだ 9年ぶり年越し、高温多雨が一因(毎日新聞)