バイオフィルムって聞いたことありますか?歯のヌルヌルした部分を指す言葉ですが、自然界の色々なものに発生し、私たちの病気の原因になるんです。バイオフィルムからお口を守る口腔ケアについてご紹介します。

歯の”バイオフィルム”って?
突然ですが、みなさん、自分の歯がヌルヌルしていることはありませんか?その正体は、”バイオフィルム”と呼ばれる、微生物による菌膜です。17世紀に発見されていましたが、1990年代くらいまでは重要性が認識されていませんでした。

ヒトの口腔内には、約100億もの菌が常駐しており、その中には善玉菌と悪玉菌がいます。
善玉菌にはアクチノマイセス属(Actinomyces)や、ナイセリア属(Genus Neisseria)がありますが、悪玉菌が バイオフィルムを形成するのです。以下のようなものです:

う蝕(虫歯)の原因菌…ミュータンスレンサ球菌群(Mutans Streptococci)や、非常に強い酸を出すことで有名なラクトバチルス属(Lactobacillus)など。
歯根う蝕の原因菌…ミュータンスレンサ球菌群や、歯垢(プラーク)に含まれているアクチノマイセス・ ビスコーサス(Actinomyces viscosus)、そしてラクトバチルス属など。
歯周病の原因菌…アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(A.actinomycetemcomitans)や、グラム陰性桿菌であるPorphyromonas gingivalis、T.forsythensisなど。
これらの菌は、空気に触れるとすぐに死んでしまうという特徴があるため、”QSシグナル”と呼ばれるフェロモンをお互いに出し合って、細胞外多糖(EPS, extracellular polysaccharide)を分泌し、口腔内に固まってコロニーを形成します。

小さなコロニーは、多種多様な微生物と結びつきます。コロニーがある程度の大きさとなると、ヘドロ状のバリア機能を持つようになります。
このコロニーは、日々大きくなり、ある日崩壊して悪玉菌が身体内に撒き散らされます。コロニーは 通常の歯磨きなどでは取り除くことはできません。

どこにでもコロニーは存在する!
バイオフィルムがいる場所は口腔内だけではありません。水っぽい場所、例えば医療現場ならば、透析カテーテルや歯科インプラント素材やコンタクトレンズ、それに家庭の排水管なんかに使われている金属、料理に使うまな板、トイレなどのぬめりなども、すべてバイオフィルムのコロニーですし、歩いていてバイオフィルムで覆われた岩を見たこともあるはず。

バイオフィルムは、生体組織のほとんどすべてに出る可能性のある、ネバネバ組織なんです。

命に関わる危険性があります
プロアクテーゼを放出…プロアクテーゼはタンパク質を分解する酵素のひとつで、体内の粘膜を溶かして、私たちをあらゆる病原菌に対して脆弱にします。高齢者や寝たきりの方は肺に入り込みやすいです。
エンドトキシンを放出…バイオフィルムが出す毒素で、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
そのほかにも、中耳炎・心筋性心内膜炎・線維症・急性呼吸器感染症・レジオネラ細菌によるレジオネラ肺炎・バイオフィルムのコロニーに侵された病院内の医療機器からの感染症などの危険性があります。
一般的な治療法は?
『デンタルドラッグデリバリーシステム(Dental Drug Delivery System,3DS)』と呼ばれる治療法です。

方法は、患者の歯周ポケットから採取した歯垢に含まれる常在菌の環境(口腔フローラ)を顕微鏡でチェックし、一人一人に適した薬液が注入されたマウスピースを作成します。これを3か月程度継続して装填することで、徐々に口腔環境をよくしていきます。
入れられているのは抗生物質ですが、副作用が心配な子ども用には、バイオフィルムの元になる悪玉菌を駆除してくれる”ロイテリ菌”と呼ばれる乳酸菌の一種で代用します。

バイオフィルムを『除去』の新方法も
最近、UNSW(フランスパストゥール研究所)のニコラ・バロー博士のチームが、新しいバイオフィルム除去方法を発表しました。
これは日和見ヒト病原体緑膿菌(ひよりみひとびょうげんたいりょくのうきん.opportunistic human pathogen Pseudomonas aeruginosa)と呼ばれる菌を使用する方法で、博士らは、この菌はほとんどすべての微生物に対して応用できると見て調査しています。

バイオフィルムは、新しい場所をコロニーにするときには、その保護作用を低減させ、個々の細胞に作用を分散させます。
研究チームは、酸化鉄ナノ粒子をバイオフィルムに注入し、加熱磁場を利用して5℃以上温度を上げることによってバイオフィルムの分散に成功。

分散させると、バイオフィルムないの微生物は扱いやすくなるとのことで「抗生物質の効かない、手に負えないバイオフィルムによる感染症の不安を取り除いてくれるかも」期待をかけているそうです。

毎日の生活でできることは?
口腔内感染症を治療するためには、口腔内からバイオフィルムを取り除かなくてはなりません。
普通は抗生物質を用いるのですが、残念ながら、ヒトの体内で抗生物質耐性菌がすぐに作られてしまうことや、血液中の感染性閉塞症の拡がりが原因で、完全な効果は期待薄です。
そのため、非常に長期間の抗生物質の投与期間が必要とされ、副作用も心配です。最低でも以下の4点には気を配りましょう。

歯ブラシ、コップなどの器具を定期的に消毒しましょう。
クロルヘキシジン(Chlorhexidine)や塩化セチルピリジニウム(cetylpyridinium chloride)などが含まれた医療用殺菌剤でうがいしましょう。
入れ歯をしている人は毎日、市販のクリーナーに漬け置きしましょう。
入れ歯や矯正器具などにひび割れなどが見られる場合、歯科医師に相談して修復を。また、口腔内や顎などにシリコンプロテーゼなどを入れている人は、7年おきくらいに交換しましょう。
「参照」

What Is Biofilm?-colgateprofessional.com
Nanotech weapon against chronic bacterial infections in hospitals-phys.org
『歯デンジャラスA(高輪クリニック理事長 隂山康成監修)』
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引用元:
歯の表面の不快なヌルヌル…”バイオフィルム”の恐怖(imedi)