急速な少子化と人口減少が進む中、県内市町村が不妊治療に対する夫婦の支援を拡充している。保険適用外となる体外受精や顕微授精の不妊治療を受けた夫婦に対する助成は本年度、八千代、河内両町を除く42市町村で導入。このうち3市は男性の不妊治療に対しても本年度から独自に助成を始めた。また、妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」についても3市村が独自に助成。夫婦の「赤ちゃんが欲しい」との願いに応えたい考えだ。

不妊治療に対する助成は2004年度に国と県が折半する形でスタート。その後、助成額を上乗せする市町村が年々増え、本年度も新たに4市町が助成を開始した。

これに加え、常陸太田、日立、つくばみらいの3市は所得制限を撤廃。神栖市と大子町は、32市町村が助成額を5万円としているのに対し、県内最大の15万円を上乗せしている。

こうした助成額の拡大などにより、利用した夫婦は当初の04年度413組だったのに対し、14年度は約4・3倍の1776組にまで増えた。

一方、常陸太田、高萩、笠間の3市は男性不妊治療に対しても助成を開始。3市とも昨年10月末現在で利用者はいないが、高萩市の担当者は「不妊治療と言うと女性がメーンと思われがちだが、男性にも原因がある可能性があることを知ってもらう意味でもスタートさせた」と説明した。

さらに日立、常陸太田、東海の3市村は不育症についても助成している。厚生労働省によると、不育症は染色体異常や、子宮形態異常など理由はさまざまで、不育症を発症している女性は年間約3万人と推計されている。それでも、適切な治療を受ければ、8割以上が出産できるという。

日立市は11年度から助成を始め、昨年度は9件の利用があった。13年度から始めた東海村は昨年度4件利用された。14年度には常陸太田市もスタート。同市によると、不育症治療のために東京まで通院している夫婦もいるといい、担当者は「治療は精神的負担が大きい。少しでも経済的負担を減らしたい」と話す。

不妊治療を続けている水戸市吉沢町の会社員女性(37)は「県も含めて、多くの自治体が赤ちゃんを授かりたいと願っている人への助成を今以上に拡大してほしい」と願った。 (小池忠臣)



引用元:
不妊治療の助成手厚く 県内42市町村導入(茨城新聞‎ )