全生存期間と生存率に影響なし

最初の診断時に既に転移していた乳がんの場合、腫瘍と近くのリンパ節転移を手術や放射線で取り除く治療に関して意見が分かれている。

 既に転移している乳がんで初回の化学療法に反応した人の場合、最初の腫瘍を取り除いても全生存率に影響を及ぼさないという結果が出ている。

化学療法後に治療

 インドのがん治療・研究センターであるタタ記念センターの研究グループが、腫瘍医学分野の有力医学誌ランセット・オンコロジー誌のオンライン版で2015年10月号に報告しているもの。

 研究グループによると、動物実験では転移があると、がんの手術で取り除いても、むしろ転移が助長されると示されている。一方で、人での臨床試験の分析では、良い効果があるという報告もある。

 研究グループは、インドのがんセンター1カ所で初診時に転移性の乳がんだった350人(65歳以上、推定余命少なくとも1年)を、最初の腫瘍と脇の下のリンパ節転移を治療するグループ、または治療しないグループに半数ずつランダムに分けた。

 遠くの転移部位、転移腫瘍の数、ホルモン療法が効くかどうかでも分類し、最初の腫瘍が切除できない状態の人はグループ分けの前に化学療法を行って、効果があった人だけを含めた。

全生存期間にも影響せず

 追跡期間23カ月(中央値)の間に235人が死亡した(治療グループ118人、治療しないグループ117人)。

 全生存期間の中央値は、治療グループで19カ月、治療しないグループで20.5カ月、2年間全生存率はそれぞれ42%と43%だった。

 有害事象は、治療グループで傷の感染症が1人あっただけだった。

一般的な治療法にならずと指摘

 初回の化学療法に反応した初診時転移性乳がんの人で、最初の腫瘍の治療が全生存率に影響を及ぼすという証拠は見られず、この治療は一般的な治療方法に含めるべきではないと結論されている。

 日本での乳がん治療を考えるときにも参考としたい。


引用元:
初診時に転移していた乳がんは取り除く治療をしない方が良い?(Medエッジ)