県立加茂病院の改築工事をめぐって対立してきた県と加茂市が21日、病院内に「産科優先」の個室を設けることなどで歩み寄り、近隣の田上町とともに合意に達した。加茂市の小池清彦市長は同日、建築基準法に基づく改築計画申請書を県三条地域振興局に通知。ストップしていた手続きが進められたことで、工事の入札や県議会の可決を経て、来年7月にも病院本体が着工される段取りとなった。開院は当初の予定から7カ月ほど遅れ、30年秋頃になる見通し。

 小池市長と田上町の佐藤邦義町長が県庁を同日訪れ、改築に関する新たな要望書を連名で提出し、泉田裕彦知事が「要望に添って努力したい」と応じた。

 合意した案によると、新病院では入院患者を受け入れる3階病院棟の6つの4人部屋をそれぞれ分割して12室とし、妊婦や産後の母子が優先的に入院できる個室とする。さらに、産科の患者数などを踏まえた上で、病院敷地内の増築スペースに県が産科優先の個室を7室増設するといった内容だ。

 また、小池市長が院内設置を求めていた病児・病後児保育施設は病院敷地外の隣接地に整備するものの、県が費用を負担して施設と新病院を結ぶアーケードを設けることで合意した。

 両首長は、泉田知事が地元の意見調整を求めた10日以降、県病院局と協議を重ねて今回の案をまとめた。

 小池市長は、県が1月に発表した新病院の基本設計に反発。産科専用の個室20室などの院内設置を求める小池市長と県の間で主張がかみ合わず、小池市長は工事に必要な行政手続きを棚上げ状態にしていた。

 県庁で記者会見した小池市長は「大満足している。(県は)直ちに加茂病院を解体し、新病院を建てると考えている」と述べた。

 加茂病院の入院患者数は26年度の1日平均で113人。新病院のべッド数は168床。県は、病室の分割やアーケードで約4千万円の費用がかかるものの、全体のコストを抑えることで、2月の県議会で認められた改築事業費の75億円以内に収まるとしている。

 工事発注業者と本契約を結ぶために必要な県議会での可決は、今年12月から約7カ月遅れて来年6月となる見込み。開院も当初予定の平成29年度末からその分だけ遅れる見通しだ。


引用元:
加茂病院改築問題 「産科優先」個室設置で県と地元合意 新潟  (産経新聞)