乳がんの手術後も前向きに生きたい。そんな女性たちの思いに応える「乳房再建」について、情報交換する集まりが名古屋市で開かれた。12人に1人がかかると言われる乳がん。早期発見、治療に続く前向きな日常のために、患者の輪が広がっている。
11月末、名古屋駅近くの会議室に約60人の乳がん体験者の女性たちが集まった。目的は、胸。がん切除後に再建された乳房にじかに触れ、話を聞きたいと乳がん体験者の会「PiF(ぴふ)」が主催した集まりだ。
会場では仕切られたブース内で、受けた手術タイプの異なる3人の女性が再建後の胸を見せた。主催者のひとり、木全(きまた)裕子さんは、全摘した右乳房を下腹部から移植した自家組織で再建した。傷痕はまだあるが、医療用タトゥーで描かれた乳輪も、やわらかな丸みをおびた乳房も自然だ。
集会では「マラソンはできますか」「カバンや重いものは手術後どれくらいから持てましたか」など、日常に関わる質問も多く飛び交った。
この分野の第一人者で、乳房再建研究所=名古屋市=理事長の武石明精(めいせい)医師(54)の講演もあった。武石さんは三重県四日市市の病院に約3年勤務した経験から、東京に比べて地方都市は正確な情報が不足していると感じたという。費用や時間を実際より多くかかると誤解したり、再建を美容手術と考えていたり。「命があればいい、ではなく、前向きに生きていけるようにするのが現代の医療者の務めではないか」と武石さんは語る。
再建手術は多くが保険適用だ。患者の体の皮下脂肪や皮膚、血管を移植する手法に加え、シリコーンなどを入れるインプラント(人工乳房)手術も2014年までに保険適用となり、再建手術する人は増えてきた。希望があれば、保険適用外ではあるが、乳輪・乳頭に医療用タトゥーを施すことも可能だ。
引用元:
乳がん患者の輪「前向きに生きる」 乳房再建へ情報共有(朝日新聞)