2000年ごろから爆発的に増加し、未認可薬の個人輸入も多くなっている抗うつ剤、SSRI。選択と週中が可能になった反面「効きが実感できない」などの不満も聞かれますが、果たして。

基本的に「SSRI」は、副作用が少ない抗うつ剤として有名です。
抗うつ剤の一種である『選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors, SSRI)』は、日本では2000年頃より広くうつ病患者に処方されるようになりました。
従来は『三環系うつ剤(Tricyclic Antidepressants, TCA)』が主流で、強力な効果をあらわすものの、過剰摂取した際の死亡率が高いとして危険視されてきましたが、「SSRIはそうした既存薬と比べて副作用が軽減されていて、安全性が高い」とされています。
例えば、1988年の発売以来”世界で一番その名前が知られている抗うつ剤”『プロザック』などがそれです。
世界を見渡しても、例えば英国の国民保健センター、ナショナルヘルスサービス(NHS)では、SSRI群は他の抗鬱剤と比較して、一般的に副作用が少ないということでうつ病患者にとってのファーストチョイスであるとしています。

エスシタロプラムシュウ酸塩 レクサプロ(エスシタロプラム)
塩酸セルトラリン     ジェイゾロフト(セルトラリン)
デュロキセチン塩酸塩     サインバルタ
フルボキサミンマレイン酸塩 ルボックス(デプロメール、フルボキサミン)
パロキセチン塩酸塩水和物 パキシル
フルオキセチン         プロザック(日本では未承認)

(うつ病治療 お薬辞典を参照して作成)

ちなみに英国NHSによる定義では、上記のプロザック、Oxactin(プロザックと同じ成分), シプロプラム(Cipramil), プリリジー(Trilogy), シプラリックス(Cipralex), ファベリン(Favoring)などがSSRIに分類されています。

「効果」をあらわす、メカニズムとは…
SSRIは神経伝達物質のメッセンジャーとなって脳内細胞にシグナルを伝えることにより、減少するとうつ病やパニック障害、キレやすさなどにつながる脳内物質「セロトニン」の濃度を高く調整した結果、気分・感情・睡眠障害などに協力な好影響が出ます。
通常の人でも、いったんは神経細胞によってセロトニンが再吸収されてしまうため濃度が下がりますが、うつ患者においてはセロトニン値はずっと低い濃度のままです。そこでSSRIで濃度低下をブロックし、常に濃度を一定の値に保ちます。

三環系うつ剤(TCA)から、どう進化した?
TCAは、1950年代に開発されました。作用メカニズムとしては、総称して”モノアミン”と呼ばれる、ノルアドレナリンや上記のセロトニン、またはドーパミンなど、人の気分に影響を与える神経伝達物質の濃度を調整します。

通常の人でも、いったん神経細胞によってモノアミンが再吸収されてしまうため濃度が下がりますが、うつ患者においてはモノアミン値はずっと低い濃度のままです。そこで、TCAによって濃度低下をブロックし、常に濃度を一定の値に保ちます。

TCAの種類
成分名             主な製品
塩酸アミトリプチリン(中毒15位) トリプタノール、ラントロン
塩酸イミプラミン(中毒18位) トフラニール、イミドール
塩酸クロミプラミン     アナフラニール
塩酸ドスレピン         プロチアデン
塩酸ノルトリプチリン     ノリトレン
塩酸ロフェプラミン     アンプリット
マレイン酸トリミプラミン スルモンチール

(八千代メンタルクリニック メンタルヘルスネットを参照、作成)

こう書くと「これはSSRIとほぼ同じ説明や」と思われるかも知れませんが、TCAは何しろ開発されたのが古いため、セロトニンなど、ひとつの脳内物質に一極集中した作りにはなっていません。
そのため、口渇、便秘、目のかすみ、痴呆(抗コリン作用)、眠気、めまい、ふらつきなどが常に副作用として出てきてしまいます。

出やすいのは、高齢者や身体疾患の合併症をもつ患者、または不安や心気傾向の強い患者。
そして残念ながら、TCAは、現在アメリカで五大薬物中毒死の原因のひとつになっています。日本においては、中毒症例のうちアミトリプチリンが15位、イミプラミンが18位にランキングしています。

実は、SSRIが最良なわけではありません。
厚生労働省によると、「今日では、SSRI や SNRI が使用できるようになり、これらの副作用はかなり軽減された」としていますが、SSRIを最大推奨容量まで処方した上で4〜6週連続投与しても効果が現れない場合は、入院治療などとともに、SSRIからTCAへの処方薬の変更も示唆しています。

また、TCAと同じようなメカニズムで作用する”四環系抗うつ薬”もありますが、三環系抗うつ薬と比べて作用発現が速く、持続時間が長いのが特徴ですので、こちらへの変更事例もあるようです。
TCAは副作用が多きいですが、その分、効果も大きいハイリスク・ハイリターンな抗うつ剤といえます。 TCAは現在でも、以下のような患者に対しては非常に有効であり続けています。


SSRIでは目立った効果がなく、意欲低下が目立つ患者
なんらかの事情により、即効性を必要とする患者
《参照》

The overdose of tricyclic antidepressant-pharmacology.med.tohoku.ac.jp
その他の抗うつ薬(PDFファイル・厚生労働省)
アモキサンカプセルの効果と特徴-mentalsupli.com


引用元:
『SSRI』は本当にうつ病患者のベストチョイスなのか【imedi】