出産は最大のデトックス?
世間では「出産は最大のデトックス」という言葉があります。
10ヵ月間、体内で成長した赤ちゃんとともに、胎盤や羊水、血液を体の外に排出するので、そう言われているのかもしれません。

個人差がありますが、長時間の分娩中はフルマラソンを走ったぐらい汗をかき、疲れるという人もいます。また、もともと体内に老廃物の多い人は産後、母乳を赤ちゃんに飲んでもらうことで母体の余分なものを出すことができ、それが体質改善につながるということもあるでしょう。

しかし、西洋医学的には「出産とデトックスはあまり因果関係がない」と言われています。胎盤や羊水などを排出すると言っても、実際に排出する量はあまり多くないため、そこまで関係があるかどうか判断がつきにくい、ということのようです。

一方、東洋医学では、出産は体内から気の塊である胎児を生み落し、さらにエネルギーである気(き)血(けつ)を消耗すると考えられています。そして、産後まもなく始まる授乳も、血液から生成される母乳を出すことでエネルギーが消耗すると考えられます。

つまり、東洋医学では「出産や育児は消耗することが多い」と考えられているわけです。この消耗をデトックスと捉えることもできるかもしれませんが、産後は内臓が冷えやすく、体力が回復しにくい状況にあり、あまり無理をすると産後の肥立ちが悪くなることもあります。

したがって出産は、単にデトックスだけでなく、諸刃の剣となるおそれがあるということを忘れてはなりません。私たちの体は「ちょうど良い」のがいいのです。出しすぎも、出さなすぎも調子を悪くしてしまいます。

出産だけでなく、妊娠期間そのものが体質を変えるきっかけになる
さて、出産が体にとって諸刃の剣になることを理解したところで、出産と体質改善の関係についてお話しをしましょう。産後、「体質が変わった」という人は少なくありませんが、それは出産だけが体質改善につながったのではなく、10ヵ月にわたる妊娠期間中の体と胎児への配慮が、体質を変える大きなきっかけになったと言えるのではないでしょうか?

妊娠前には、頭が痛くなると簡単に頭痛薬を飲んでいたが、妊娠中は別の改善方法を考えた。毎日コーヒーなどのカフェインを摂りすぎていたが、妊娠中は控えるようにした。

そのほか、お酒や夜更かしをやめたり、運動不足を改善したり、人によってはタバコもやめるといったように妊娠中に生活習慣を改めて、赤ちゃんに良いものを口にしよう、適度な運動をしよう、夜は早く寝て規則正しい生活をしょうとしたのではないでしょうか。

こうした健康意識は特別な状況にならないと、なかなか実践することのできないことです。しかし、妊娠中はそれをやりきることができる特別な時間なのかもしれません。

10ヵ月間という比較的長い時間をかけて自分を見つめ直すことで心身に大きな変化を迎え、結果として体質が変わった。それが「出産を機に体質が変わった」ことの本当の意味なのかもしれません。

体質は、生まれた時の状態や日頃の生活習慣が大きく影響するので、これを変えることはそう簡単なことではありませんが、妊娠期と出産、そして育児の時期をバランス良く過ごすことで、あなたの体質は劇的に変わる…かもしれませんよ。



引用元:
出産を機にデトックスできて、体質が変わることってありますか?(excite)