不妊の原因の約半分は男性不妊であると言われています。また、男性不妊9割が精子異常が原因とされています。精子異常とは、その数が異常に少ない乏精子症、元気のいいものの数が異常に少ない精子無力症、含まれているもののうち奇形が多い精子奇形症、精液中に1匹もいない無精子症があります。これらは精子をつくる機能に異常をきたしているために起こります。近年では、食品添加物の影響等で男性不妊である人が増えてきていると言われています。

精子と射精の仕組みについて
核というDNAが含まれる頭部、体部、しっぽのような尾部の3つで構成されるが精子の仕組みです。精子は精巣の中で細胞分裂が繰り返されてでき、それには約80日かかります。精子は精巣上体という部分で成熟し、射精を待ちます。射精された精子は約5〜6時間で受精能力を身につけ、それから約4〜5日生きると言われいます。精子の生存時間は個人差があり、約8日前の精子が生きていて受精、妊娠が成立したというケースも存在します。

精子の生存期間と受精可能期間ってどれぐらい?
男性が一度に射精する精液の中には1億から5億もの精子が含まれていますが、卵管膨大部に辿りつける精子は数百から数十にまで減ってしまいます。射精後の精子の寿命は平均2〜3日、長くても1週間となります。この寿命のうちに排卵が行われれば妊娠する可能性がありますね。より妊娠の可能性を高めるのであれば精子が元気な受精可能な期間に卵子と出会わなければなりません。精子の受精可能期間は約36時間と言われており、その間に卵子と出会い受精することが必要です。

受精のベストタイミングとその理由
受精のタイミングは排卵日2日前がベストと言われています。それは精子と卵子の受精可能期間の違いからきています。卵子の寿命はおおよそ24時間と言われており、受精可能期間はさらに12時間程度とされているので、その期間に精子と出会わなければ妊娠することはできません。ですので排卵のタイミングで精子が卵管膨大部にすでに待機していて卵子を待ち構えているという状態が妊娠しやすい状況となります。そして前述の精子が元気な期間が36時間ですから、排卵日2日前に性交渉を持つことがベストなタイミングと言えるのです。

セックスと精子と関係性について
精子とセックスの関係性について説明します。セックス(射精)の回数が多いと精子の量は少なくなります。精子の量が少ないと妊娠の可能性が低下するように思いますが、実は反対に妊娠の確立が高まるのです。妊娠の可能性の要因は精子の量より質にあるのです。精子は精巣で常に新しいものが作られています。新しい精子の方が運動量が多く元気に活動します。セックス(射精)の回数が多いと精子の量は少なくなりますが、その分新しい元気な精子が多くなり、妊娠も確立が高まるのです。

精子に良い食材について
ねばねばした物を食べると精力がつくと良く耳にしますが、それらの食品にはムチンという栄養素が含まれているからです。ムチンは山芋や納豆、オクラなどに含まれており、男性ホルモンを生成するのに役立つといわれています。男性ホルモンは精子を作り出すために重要なホルモンなのでムチンは精子にとって良い成分です。精子の量だけでなく運動量にまで影響がある栄養素として知られているものに亜鉛があります。亜鉛は牡蠣やレバー、鰻などに多く含まれ、亜鉛が不足すると生殖機能が低下します。

精子に良いアルギニンとセレンを含む食材
アルギニンは必須アミノ酸の一種であり、精液の約80%を占める成分である。必須アミノ酸は体内で生成することのできない栄養素で、主に食品から摂取しなければなりません。アルギニンを多く含む食品は大豆、玄米、牛乳などがあります。セレンはミネラルの一種ですが必須微量元素といって人体に欠かすことのできない栄養素です。精子の生成や精子の運動に必要とされます。セレンを多く含む食品はしらす、わかさぎ、うになどです。

精子に良いビタミンQとビタミンEを含む食材
ビタミンQはビタミンに似た作用を持つ、ビタミン様物質と言われる栄養素で、抗酸化作用があり、化粧品などに使われ美容効果が有名ですが、精子の運動を高めることも知られています。ビタミンQを多く含む食材は、もつ、レバー、牛肉などがあります。ビタミンEはビタミンの一種です。男性ホルモンに作用し精子を作る精巣の機能を高める作用があります。ビタミンEを多く含む食材は、落花生、アーモンド、かぼちゃなどがあります。

精子の基準値の目安について
正常な精子の精子濃度は1ml中に精子量が1500万以上あることとされています。これはWHOが定めた基準値になります。精液量も1.5ml以上が正常とされています。以前はもう少し厳しい数値でしたが、2010年に新しい基準が定められたことで不妊症の定義が緩くなりました。この基準を満たさない場合乏精子症と診断され自然妊娠は難しくなります。さらに詳しく検査を進め、症状の程度により人工授精や体外受精などを行います。

精子の基準値の目安について
正常な精子の質は精子運動率でわかります。精子運動率が悪いのは精子の質が悪いとされます。正常な精子の精子運動率は総運動率が40%以上あることが条件となります。精子運動率を下げている大きな原因の一つに精策静脈瘤という症状があります。精巣から腎臓へ流れる弁が逆流することで精子が機能低下を起こしてしまう症状です。不妊の男性の4割近くがこの精策静脈瘤が原因とされています。手術をすれば半分以上の人に不妊の改善が期待できるとされています。医学は日進月歩です。あきらめずに治療をすれば、効果が期待できます。

正常な精子の基準値の目安とは
正常な精子とは一回に射精される精液の量が2ml以上であること、精子濃度(1ml中の精子の数)が2000万個以上であること、精子の運動率:動いている精子が50%以上あって、そのうち高速でまっすぐ進む精子が25%以上あること、正常な形態の精子が占める率が30%以上あること、生存している精子が占める率が75%以上あること、白血球の数(炎症があると増加)が1ml中100万個未満であることが挙げられます。また、精子の正常な生存率の基準値は、生きている精子が58%以上のことをいいます。

男性不妊の種類と精子異常とは
男性不妊の中に無精子症とOAT症候群というものがあります。無精子症には、閉塞無精子症(精子を運ぶ通り道である精路が閉鎖している状態)と、非閉塞性無精子症(精路は通っている状態)があります。閉塞性無精子症は、射精精液中には精子はいませんが、精巣では精子が作られているため、その精子を用いての顕微授精が可能です。OTA症候群とは、特発性造精機能障害では乏精子症、精子無力症、奇形精子症がそれぞれ単独である場合は少なく、この3つがそろっていることが多く、OTA症候群と呼ばれます。

男性不妊の原因となる精子異常の種類
男性不妊の原因は精子の異常によって起きることが多いです。精子の異常を大別すると精子の数が少ない場合と精子の動きが悪い場合があります。精子減少症は精子が作られないものと作られた精子が出られないために精液中に精子が少なくなります。精液中に精子がまったくないものは無精子症といいます。精子死滅症は精子を作る過程のどこかに異常があり、精子が死んでしまう疾患です。精子が死んでおり動かないため不妊となります。他の精子の動きが関係する疾患に精子無力症や精子不動症があります。

男性不妊の原因の精子異常の種類
男性不妊の原因は精巣によるものとそれ以外の器官によるものがあります。精巣以外による原因のものを副性器機能障害と呼びます。副生器とは精管、精嚢、前立腺、尿道線、陰茎のことをいいます。副性器機能障害の原因は副性器の細菌感染によるものが多く、菌が精液に含まれることで精子の機能が低下したり、死んでしまいます。性機能障害とは何らかの原因で性交ができなくなる状態です。男性で有名なのは勃起障害で心因性、血管性、神経性などの原因があります。他には性欲低下障害、性欲嫌悪障害などがあります。

男性不妊の原因となる無精子症とは?
無精子症とは、精液の中に精子が全く存在していない状態の事を言います。近年では無精子症の男性が増加していて、100人に1人は発症しています。無精子症は、閉塞性と非閉塞性の2つのタイプに分かれています。閉塞性は精子が精巣内で作られてはいるが、その精子の通り道が塞がれている状態の事を言い、非閉塞性は精子が精巣内で全く作られない状態の事を言います。また無精子症の男性のほとんどが、非閉塞性のタイプなのです。

男性不妊の原因である精子死滅症と精子減少症について
精子死滅症は精液中の精子が死んでいるために不妊となる疾患です。精子の運動異常による男性不妊の疾患のひとつです。他の疾患との違いは、精子無力症は動いている精子が少ない状態であるのに対し、すべての精子が死滅しているため動かない状態です。はっきりとした原因は明らかになっていませんが、炎症などによる白血球増加の影響や精子を生成する器官の異常ではないかといわれています。原因が判明していないため治療法も確立していないのが現状です。妊娠するには生きている精子を探して人工授精する必要があります。

男性不妊の原因である副性器機能障害と性機能障害
精子減少症は内分泌や精路などが原因でEDなどの性機能障害もそうですが精巣以外の性器が原因で起こる男性不妊の障害は副性器機能障害といいます。精子死滅症は精子が生成されるどの過程で異常が起きているのか分かっていません。精子死滅症と精子減少症の原因不明のケースでの治療法はないのが現状です。妊娠するには生きている精子を見つけ出し人工授精する方法があります。どちらの疾患も生きている精子が1つでも見つかれば採取して人工授精によって妊娠する可能性があります。

男性不妊の原因が無精子症の場合、妊娠するにはどうしたらいいのでしょう?
自然妊娠を希望しているカップルで年齢が36歳未満で、女性側に不妊の原因がなく男性が閉塞性無精子症と診断された場合、精路再建手術という治療方法があります。これは、精子の通り道が詰まっている箇所を再び開通させる手術方法で行われます。この方法で精子の通り道が開通する事が出来たら、自然妊娠する可能性も高くなります。次に非閉塞性無精子症の場合は、ホルモン異常が原因とされるため、ホルモン剤を注射する方法で治療が行われます。この治療を行う事によって、精子が精液中に出てくる可能性が高くなるのです。

OAT症候群の一つである乏精子症とは
乏精子症は男性不妊の原因の一つです。名前から何となく分かるかも知れませんが、精液中の精子濃度が低いために妊娠し辛くなります。造精機能障害といい、精子の生成がうまくいかず足りなくなります。原因の半数は不明で、特に異常は見つからないことが多いです。次に多いのは精索静脈瘤によるものです。精巣や精索部にできる静脈瘤で瘤が血流に影響し精巣の温度を上昇させるために造精機能障害を起こすといわれています。他に考えられる原因は停留精巣や先天性障害、遺伝などがあります。

OAT症候群の一つである乏精子症の人が妊娠するには
乏精子症であっても妊娠することは可能です。原因不明造精機能障害の場合は、精子濃度を上昇させる確実な治療は見つかっていないのが現状です。しかし、ホルモン療法が有効な場合や漢方薬やビタミン剤を投与する非ホルモン療法でも改善が見られる場合があるのも事実です。精索静脈瘤が原因の場合は精索静脈瘤手術で効果が出ることがあります。精子量や運動率の上昇を認め、自然妊娠できる場合もあります。自然妊娠はできなくても、人工授精や体外受精の確立が高まることが分かっています。

OAT症候群、精子無力症とは
OAT症候群は男性不妊の原因の総称で、貧精子症、精子無力症、奇形精子症の頭文字からきています。その中のひとつの精子無力症は精液内の精子の運動率が低いために起こります。精子は自らの運動によって卵子を目指します。その動きが悪いと卵子までたどり着ける確立は低くなるため、妊娠しづらくなるのです。長期間の禁欲は妊娠しやすいと思われがちですが、精子の運動率が低下することがわかっています。精子は時間の経過で弱ってくるので、運動率も低下します。適度に射精し新しく作られた精子のほうが運動率が良いのです。

OAT症候群や精子無力症の人が妊娠するには
精子無力症は投薬治療で効果が出る場合があります。漢方薬やビタミン剤を服用します。ホルモン剤を使用しないため非ホルモン療法と呼ばれます。精子は作られるのに2ヶ月以上の期間がかかります。治療の効果を見極めるには、少なくともそれ以上の期間が必要になります。あせらずに治療を受けられる方は試す価値はあります。そんなに待っていられない事情がある方も、顕微鏡で元気な精子を採取して人工授精する方法あるので、あきらめず専門医に相談し自分に合った治療を受けましょう。

OAT症候群の中の奇形精子症とは?
奇形精子症とは、精液の中の精子のほとんどが形に異常のある事を言います。精子の奇形には2つのパターンがあり、頭部の精子異常と尾部の精子異常があります。この2つの内、頭部の精子異常の方は特に受精しにくい傾向にあります。また受精したとしても染色異常などによって、成長しない場合がほとんどです。その理由は、精子の頭部には、遺伝子であるDNAがたくさん詰まっているからなのです。そのため頭部と尾部の奇形の妊娠率が異なってくるのです。

OAT症候群の中の奇形精子症になった場合に、妊娠するには?
奇形精子症と診断されると、自然妊娠をする事は出来ません。そのため妊娠するためには、精液中の正常な精子を選び顕微授精を行わなければいけません。ただし症状が軽度の場合で女性の年齢が若い場合には、人工受精を行う事が出来ます。さらには薬物療法などによって、正常な精子を増やす事で、運動精子を増やしや奇形精子を減らす事が出来る場合もあるのです。しかし症状が重度の場合には、顕微授精を行う必要があるのですが、通常の不妊治療よりも妊娠する確率は低くなります。

当てはまる人の精子は妊娠しづらい可能性がある?男性不妊のチェックポイント
睾丸を強くぶつけたことがある、風俗で遊んだことがある、タバコを毎日吸っている、お酒をよく飲む、夜更かしすることが多い、ストレスを多く感じている、これらに心当たりのある方は妊娠しにくい精子になっている可能性があります。また、不妊に関係する自覚症状として、排尿時に痛みがある、性器にかゆみがある、精液に血が混じる、性欲がわかない、などがあげられます。以上、合計10個のチェックポイントのうち1個でも当てはまることがある方は不妊症になっている可能性があるため注意が必要です。

年齢による精子の老化と不妊の関係性
男性の年齢と精子の関係は密接しており、歳をとるにつれて精子も老化していきます。個人差はありますが、そのボーダーラインは「35歳」です。35歳を過ぎたあたりから徐々に精子の劣化が始まり、具体的な症状としては「精子量の減少」「精子の運動率の低下」などがあげられます。また、高齢になるほど精子のDNAが損傷しやすいという研究データもあります。DNAが損傷してしまうと、正常な妊娠がしにくくなってしまいます。これらの理由により、35歳以上の男性は35歳以下の人と比べて不妊症になる可能性が高くなってしまいます。

ストレスから採精不可になり精子凍結保存した精子を使用するケース
精子凍結保存は不妊治療で使われます。人工授精や体外受精をする時は新鮮な精子が必要となります。人工授精は女性の排卵の関係で特定の日に精子を採取しなくてはなりません。不妊治療が長期になると精子の採取がプレッシャーとなりストレスから摂精不可になるケースがあります。精子凍結保存をすることで摂精不可になったとしても治療を受けることができ、プレッシャーが軽減される効果もあります。精子が採取できた場合でも、量が少ない時や質が悪い時には保存しておいた精子が使われることもあります。

がんの治療などで精子凍結保存した精子が必要となるケース
精子凍結保存はがんなどの治療を受ける際に行うケースがあります。抗がん剤や放射線治療は精子形成障害を起こす恐れがあります。精子形成障害は精子の生成がうまく行われなくなる病気なので妊娠ができなくなる恐れがあります。妊娠を望んでいる場合は、治療を受ける前に精子凍結保存を行い、健康な精子を確保し人工授精により妊娠させます。人工授精では精子凍結保存した数回分の精子から質の良いものを選択し人工授精できるため妊娠率向上のメリットがあります。

精子凍結保存の保存方法と安全性
精子凍結保存とは精子を-196度で凍結し保存することをいいます。半永久的に保存が可能で、凍結融解精子は、運動率が落ちますが、医学的にも安全性は立証されています。摂精方法は病院で行う場合と自宅で行う場合があります。自宅で行う場合は、マスターベーションで専用の容器に入れ、温度変化に気を付けながら病院へ運ぶ必要があります。その際の温度は人肌程度の温度環境が理想です。また、移動の時間もあまりかけないようにし、数時間以内が理想的です。

精子凍結保存の保存期間と平均価格
精子凍結保存にて保存された精子は、凍結融解後は運動率が落ちるものの、半永久的に保存することが可能です。精子凍結保存をする場合の費用は、自費負担となるので、病院や施設によっても違いますが、約1万円〜10万円程度が相場となっています。保存期間も病院や施設によって異なりますが、12か月程度が多く、そのあと1年ごとに凍結更新手続きをするところが多いです。その更新するときにも、その都度費用が発生することが多いです。

不妊治療前に検査から!精子に異常がある可能性も考えて。
妊娠するには精子は絶対に必要なものですが、精子に異常があればどんなに女性が妊活を頑張っても妊娠するのは難しいでしょう。

精子に何らかの問題がある場合でも種類は様々です。女性も男性も同じで自分の不妊症については気付きにくいので、早めに病院を受診し、検査してもらうと良いですね。



引用元:
不妊の原因の約半数は男性!精子の寿命や不妊治療など精子のまとめ(mamari)