赤ちゃんのころに、親がたくさん「話しかける」ことは良いことなんだそうです。子どもの脳の発達の仕組みをご紹介します。

■お母さんは、なぜ赤ちゃんに話しかけるの?

みなさんは、街中でお母さんが赤ちゃんに話しかける姿を見たことがありませんか? まだ言葉も話せない赤ちゃんに、一生懸命話しかけるお母さん。「お腹すいたね」「空がきれいだね」と話しかけても、しかし、赤ちゃんはそっぽ向いている、なんてこともあるかもしれません。返事もないのに、どうしてお母さんは赤ちゃんに話しかけるのか、不思議に思ったことがある人もいるでしょう。

実は、お母さんのあの行動は、赤ちゃんの脳の発達に関係があるんです。

生まれたときには小さな赤ちゃんの脳も、3歳になるころには大人と同じくらいの大きさになるといわれています。その間、結合される神経の数は、なんと1,000兆にものぼるのだとか! ちょっと想像のつかない数字ですよね。それほど膨大な数の神経が、赤ちゃんの脳の中で結びついていくのです。


■言葉のシャワーをたくさん浴びた子ほど、早く話せるようになる?

人間がほかの動物と大きく異なる点は、言葉を話す点です。だからといって、成長すれば勝手に言葉を話せるようになるわけではありません。みなさんが勉強をするように、赤ちゃんも学ぶ必要があります。

赤ちゃんの脳を、最初は空っぽの状態だとします。その空っぽの脳の、なんの知識もないところに、初めて触れる「言葉」が、赤ちゃんの脳を育てていきます。驚異的なスピードで成長を遂げる赤ちゃんの脳は、たくさんの言葉を吸収していきます。「親が話しかける頻度が高いほど、子どもが話しはじめるのが早くなる」と言われることがありますが、たくさんの言葉のシャワーを浴びた子ほど、頭の中の言葉の器が早くいっぱいになるということなのかもしれません。

実際に、アメリカにある米国科学振興協会の研究では、子どもとの会話が、子どもの学習能力の土台を築く、脳における重要な発達を促すことが報告されました。また、同じくアメリカの心理学者であるエリカ・ホフ氏は、「どれだけたくさん話を聞くかではなく、どんな種類の話を聞くかが重要」だと説明しています。さらに、その会話の内容は、豊富で複雑でなければならないとも付け加えています。


■さり気ないコミュニケーションが言語能力を育む!

お母さんがまだ話せない赤ちゃんに語りかける理由は、こんなところにありました。

他にも「胎教」といって、まだ生まれる前、お腹の中にいる赤ちゃんに話しかけることもあります。それこそ聞こえないと思うかもしれませんが、実は、お腹の中にいる赤ちゃんにも外界の音は聞こえているといわれています。こまめに話しかけることで、お母さんの声を認識したり、時にお腹を叩いて返事をすることもあります。そういったコミュニケーションを通じて、赤ちゃんの脳の発達を促しているのです。

誰もが一度は通った赤ちゃん時代。自分もそうだったはずなのに、「覚えていることのほうが少ない」なんてことも珍しくありません。そんな赤ちゃん時代や幼少期にスポットを当てた学問が「児童学」です。児童学では、乳幼児・児童の心と体について専門的に学び、発達に関する支援などを研究します。赤ちゃんの脳の仕組みや発達の過程などに興味を持った人は、児童学について学んでみるのもいいかもしれませんよ。


引用元:
赤ちゃんにたくさん話しかけると、表現力豊かな子どもに育つらしい!?(マイナビニュース)