回復後に父親になれる可能性

精巣がんにおいて、精子の凍結保存が将来的な生殖の上で大事な選択となってきそうだ。

精巣がん、22歳男性の経緯

 カナダ、マギル大学医療センターから2015年9月に報告されたもの。

 2004年12月、22歳のある男性が左の睾丸にわずかな異変を感じて病院を受診したところ、精巣がんと診断を受けたという。報告によると、精巣がんは15歳から34歳の男性で最もよく見られるがん。

 診断の当日に手術を受け、その1週間後、医者から精子保存を提案している。化学療法によって生殖機能に影響を及ぼす可能性があるためで、この男性は精子の凍結保存を行った。

 この男性が結婚後、凍結精子を用いて1児の父になったと伝えている。

 研究グループによると、精巣がんの治療はとても効果的で、5年生存率は90%以上に及ぶ。

 問題は、化学療法や放射線療法で、生殖器と生殖機能に重い悪影響を残す恐れらがある。そのため精子保存に意味が出てくる。

精子保存が無料化の動きも

 がんの診断を受けた後に精子保存を進める動きは進んでいるようだ。

 マギル大学医療センター生殖センターのマリア・ベレン・ヘレロ氏が行った最近の研究によると、2010年以降、ケベック州の公的助成の一環として、がんになると卵子と精子の保存は無料で行えるようになった。精子バンクに足を運ぶ機運も高まっているという。

 さらに、別の研究では、がんになった人となっていない人では、精子を保存してその後の生殖治療で使用した場合の生殖の結果も同等だったと分かっている。

 日本でも一般的になってくるのかもしれない。


引用元:
精巣がんにおける精子保存の重要性(Medエッジ)