◆かかりつけ医と連携

 東北大病院(仙台市青葉区)は1日、てんかんの包括的な診療を行う「てんかんセンター」を開設した。東北地方では唯一の診療拠点となる。従来の外来中心の診療では、患者のうち約3分の1が発作が消えないなどの問題を抱えているという。院内の関連する診療科や地域の医療機関との連携を強化し、治療の道筋を示していく。

 センター長を務める中里信和・てんかん科教授によると、てんかんは100人に1人がかかる身近な病気で、薬物療法が一般的だが、患者の3分の1は薬が効きにくい難治性とされる。症状が幅広いうえ、てんかんと紛らわしい例も多く、専門医が少ないことが課題となっている。
東北大病院は2010年、「てんかん科」を国内の大学病院で初めて設置した。2週間の検査入院で脳波などを精査して原因を究明するほか、時間をかけた問診や臨床心理士の面談など心理社会的な診療を行っている。

 てんかんセンターは、国のモデル事業として、県から「てんかん診療拠点機関」に指定されたことを受けて設立された。同病院の地域医療連携センターには、専属のコーディネーターも配置した。地域の医療機関への助言や、てんかんに対する啓発活動なども展開していく。

 てんかん患者は、薬の副作用で眠たかったり、発作をコントロールできずに運転免許を取得できなかったりと、日常生活で困難を抱えている人が多いという。

 中里教授は「患者には現在飲んでいる薬や生活環境で見直すべきところがあるかもしれない。諦めずに相談してほしい」と呼びかけている。

 「かかりつけ医の存在が重要」として、当面は患者や家族からの相談は、かかりつけ医を通じたものに限る。医療機関からの問い合わせは、地域医療連携センター(022・717・7131)。

 ◇てんかん

 慢性の脳疾患で、けいれんを起こしたり、突然意識を失ったりする発作を繰り返す。頭のけがや脳炎など様々な原因で起きるが、はっきりしているのは約3分の1で、多くは原因不明。3歳以下の発症が最も多いが、どの年代でも起きる。


引用元:
東北大病院、てんかんセンター開設(読売新聞)