秋はぜんそくの発作が起きやすい季節だ。気圧の変動や寒暖の差、風邪のウイルスに敏感に反応し、苦しくなる。

 今年は私が働く病院にも例年以上に多くの子どもが他の診療所などから紹介され、入院している。発作は夜起きることが多いので、子どもたちはつらい夜を過ごす。その対応で、私たち小児科医もこの時期は寝不足になりがちだ。

 ぜんそくは「発作性に始まるせき、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難を繰り返して起こす病気」とされている。ただ、3歳以下の子どもは風邪で「ゼーゼー」と音がする喘鳴を起こすことがよくある。そのため、ぜんそくと診断するのも難しく、以前はぜんそくのような気管支炎と判断する傾向にあった。

 子どもが風邪を引いたときに「ゼーゼー」という音が聞こえたら、呼吸の状態をみて欲しい。

 胸とおなかの境目やのど元がぺこぺこへこむ、空気を吸うときに鼻の穴が広がる、横にならず身体を起こして呼吸する。こうした症状は呼吸が苦しいとよく見られ、程度も強くなってくる。苦しくて夜眠れなくなったり、おなかが痛くなったり、吐いたりする症状を伴うことも多い。

 こうした呼吸困難の症状が出ている場合は、ぜんそくの可能性があるので、病院で検査を受けることを勧めたい。親族にぜんそくや花粉症、アトピー性皮膚炎を持つ人がいるか、赤ちゃんのときに湿疹になった経験があるか、といった点も重要だ。

 残念ながら、ぜんそくと確定診断できる検査はない。だが、成人の場合と異なり、アレルギー体質を持つ子どもがなることが圧倒的に多い。このため、診断をするときは、ハウスダストやダニなどのアレルギー物質に対する抗体がどれぐらいあるかや、「好酸球」というアレルギーに関わる白血球の数値などを調べて、診断の参考とする。

 「ゼーゼー」という特徴的な音を伴わなくても、たんの絡んだせきが長く続き、夜間に強い症状が出る場合も注意して欲しい。アレルギー検査をして陽性となる場合、ぜんそくに使う薬を使うと改善することがあるからだ。

 小児ぜんそくの8割は、3歳以前に発症すると言われている。ぜんそくは、気管支でアレルギー性の炎症が持続的におきている状態の病気なので、小さい頃にその炎症を治めて発作を抑えていくことが、その後の改善に大きく影響することがある。

 早期の診断や治療がとても重要だ。


引用元:
秋…小児ぜんそくの注意点(朝日新聞)