秋田大大学院医学系研究科産婦人科学講座や県産業技術センターの教職員ら12人でつくる研究チームが、実験用マウスの卵子にある微小管を染色する時間を、従来の10分の1以下に短縮することに成功した。筆頭研究者で同大非常勤講師の白澤弘光さん(35)は「迅速な観察が可能になるので、不妊症の研究を効率化できるのではないかと期待している」と話した。

 白澤さんによると、卵子を入れた蛍光の染色液に低周波の電圧を繰り返し与えると、卵子にある約0・02ミリメートルの紡錘(ぼうすい)体を構成する微小管が10分ほどで緑色に染まった。従来は、染色液に卵子を浸してから2時間ほどかかっていた。

 染色されて見やすくなった紡錘体の微小管を観察すると、卵子が正常に細胞分裂しているかどうかが分かる。染色してから2日後の色は、従来の方法より鮮やかだった。染色液の濃度は従来の10分の1で済み、費用の節約も期待できるという。

 電圧により細胞を震動させて染色を促す方法は「電界非接触撹拌(かくはん)技術」と呼ばれ、秋田大と県産業技術センターが共同で2009年に開発した。これまでに、がん診断などに応用されたが、卵子の染色にも利用できることが証明された。


引用元:
卵子微小管染色、時間10分の1に 本県チーム、短縮に成功(秋田魁新報‎)