女性の方にお聞きしたい。「あなたは、いくつまで自然妊娠ができると思いますか?」

 名古屋市立大学が平均25歳の未婚女性を対象に行った「妊娠に関する意識調査」の質問項目だが、「45歳まで」という回答が最も多く、未婚女性の3人に1人がそう考えているという結果になった。

 これに「50歳まで」「60歳まで」という選択肢をを加えたところ、45歳から60歳まで自然妊娠が可能と考えている女性が36%にもなった(※1)。

 調査に当たった大学教授は「平均50歳で迎える閉経の時には卵子がゼロになるので、50歳以降の妊娠はギネス的」と、未婚女性の認識の甘さを嘆いている。


女性は生まれながらに卵子 男性は思春期から毎日“製造”

 初めにお断りしておく。これは女性の妊娠についての話ではない。なので「俺には関係ない」とページを閉じようとしたあなた、最後までお読みいただくことをお勧めする。今から書くのは、男性の“妊娠適齢期”についての話なのだから。

 妊娠についての男女の違いをおさらいしておく。女性は、一生分の卵子を卵巣で貯蔵して生まれてくる。

 卵子は年齢が進むにつれて減っていって老化し、一般的に30代後半になると妊娠しにくくなる。このため、女性には妊娠適齢期があるといわれる。ここまでは、かなり有名な話だと言って良いだろう。

 一方の男性は、生まれた時は精子を持っていない。精子は思春期になってから作られる。

 その数は毎日1億個。このため男性は「何歳になっても大丈夫」と自信を持っている。俳優チャプリン、古くは豊臣秀吉など、高齢で父親になった人物がいることから「精子は老化とは無縁」というイメージがあるようだ。しかし、その精子も、一定の年齢を過ぎると老化することが分かってきた。


精子の受精能力、34歳までは70%超 45歳過ぎると41%

 精子の老化に関する研究は海外に多い。2012年にアイスランドの研究チームが英科学誌に発表した研究では、父親の年齢が高いほど、子どもに伝わるDNA配列の変異が増えることが明らかになった。父親の年齢が高いほど妻が妊娠しにくく、流産率も高まるという研究もある。

 国内では、独協医科大学越谷病院の岡田弘教授(泌尿器科)の研究が注目を集めている。岡田教授は、男性不妊外来を受診した20〜40代の患者100人の同意を得て、精子の受精能力を調べた。

 その結果、受精能力がある精子の割合は、20〜34歳では70%を超えたが、35〜39歳は65%、40〜44歳は54%、45〜49歳は41%と、35歳を境に低下する傾向が確認された(※2)。

 35歳がターニングポイントのようだ。女性が30代後半から妊娠しにくくなるのと符合する。しかし男性の場合は、高齢になっても精子は作り続けられる。閉経で妊娠の可能性がなくなる女性との違いがここにある。


日本の最高齢出産は60歳

 しかし、こんなデータがある。厚生労働省の人口動態統計によると、50歳以上で出産している女性が増えているのだ。1990年はゼロだったのが、2000年には6人、2010年には19人、そして最新のデータである2013年には47人に上る。

 閉経にも個人差があるから50歳以上で出産してもおかしくないと考えることもできる。しかし、もっと大きな要因と考えられるのは体外受精だ。日本では、産科婦人科学会の倫理規定で体外受精は夫婦間に限られているが、海外では第三者の卵子を使った体外受精が増えている。

 日本での最高齢の出産は2001年に出産した60歳の女性だが、この女性は米国で第三者から卵子提供を受けての妊娠だった(※3)。

 「適齢期」を過ぎても出産はできるようになってきた。子どもが欲しいという願いをかなえるための医学の進歩のたまものだ。しかし、それにはリスクが伴うことも肝に銘じておきたい。



引用元:
オトコにもあった「妊娠適齢期」 35歳が精子老化の曲がり角!(CIRCL(サークル)‎ )