日本人の平均睡眠時間は、短いことで有名だ。実際に、日本人の平均睡眠時間は1960年から2005年までの45年間で約50分短縮している。幼児から壮年期を通じて就床時刻が次第に遅くなり、国民生活の夜型化も進んでいるという報告もある。

 睡眠不足からくる生産性そのものの低下やそのほかのヒューマンエラーの損失を日本全体で合計すると、その総額は3兆5000億円にも上るという調査結果もある(※1)。勤労世代の睡眠時間が6時間を下回ると、日中の眠気が増してヒューマンエラーの頻度が上昇することも知られている(※2)。

 では、特に平均睡眠時間が短く、注意の必要な職業とは何だろうか? 民間のサイトが行った調査結果を中心に取り上げてみよう。


職業別。平均睡眠時間が短いのは? ワースト5

 民間のサイトが2009年に、20代から60代の男女4914人から回答を得たサンプル調査によって、職業別1週間当たりの平均睡眠時間が調査された。

 調査結果によると、最も平均睡眠時間が短かったのは「営業・企画系」の6.2時間だった。これに専門職(6.2時間)、役員・管理職(6.2時間)、IT関係(6.3時間)、教員(6.4時間)が、僅差で続いている。

 それと比較すると、自営業や販売系、クリエイター系などは十分な睡眠時間を確保している。組織の中で役職を持って働き、顧客や組織関係者の動向に行動が左右されやすい営業、企画、専門職に就いている人の方が睡眠時間を確保できていない実態が明らかとなっている(※3)。


年代別 1週間の平均睡眠時間ワースト3

 10代から60代の男女8669人から回答を得たサンプル調査から、年代別の平均睡眠時間も割り出されている。

 その結果、最も睡眠時間の短かったのは、50代の6.4時間。それに僅差で40代の6.4時間が続き、30代で6.7時間の平均睡眠時間となっている。平均睡眠時間が7時間になるのは4位の10代になってからである。

 社会や職場の責任ある立場で働くミドルエイジの30代から50代の男女が、最も睡眠時間が短いことになる。この年代の平均睡眠時間が6時間台なので、かなり必要な睡眠時間を確保するのに苦心している様子がうかがえる。

 彼らの睡眠時間をこれ以上削って働かせることは、かえって健康を損なわせることになり、ミスの増加や生産性の低下で会社や社会の損失になる(※4)。


質の良い睡眠とビジネスパーソンのヘルスケア

 忙しいビジネスパーソンは、日々の業務に追われて自分の睡眠時間の管理を始めとするヘルスケアが後回しになりがちだ。だが、起床時間と睡眠時間を毎日入力するだけで、1週間ごとの睡眠グラフで睡眠時間の過不足をチェックできるウェブサービスもある。

 このようなサービスを利用すると、睡眠時間を生活リズムのバロメーターとして活用できるほか、うつ病を始めとするメンタル系の病気の予防にも効果的だ。メンタル系の病気を予防したり順調に回復させるためには、睡眠時間のコントロールがとても重要だからだ。

 睡眠時間のデータをログとして残しておけば、病院を受診する時にも医師の診察の助けになる。何よりも、睡眠そのものを意識して記録するという行為そのものに、認知行動療法のような効果がある。認知行動療法とは、ものの受け取り方や考え方(認知)に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種である(※5)。

 真面目で仕事熱心な人ほど、ついつい頑張りすぎて睡眠不足に陥りがちだ。だが、仕事でいい結果を出すためには質の良い睡眠が欠かせない。相性のいい睡眠管理ツールもうまく活用して、快適な睡眠ライフ作りを工夫してみてほしい。



引用元:
「寝ていない国、日本」で一番寝ていないのは誰? 職業別の睡眠時間(CIRCL)