【ニューデリー】インド政府は不妊治療を施す医院に対し、同国の女性を代理母とした代理出産を外国人に認めないよう指示した。この業界が成長するのに伴い、女性を利用することへの懸念が広がっており、政府は規制強化に動いている。

 インド医療研究協議会(ICMR)は27日付の書簡で、代理出産サービスはインド人夫婦にのみ提供されるべきだとの見解を示した。外国人の依頼を受けた代理母が現在妊娠している胎児の問題には触れていない。

 ICMRの主席科学者ラデイ・シャルマ氏によれば、今回の指令は保健家族福祉省の指示で送付された。同省は先に、インド系ではない外国人がインド人の代理母を雇うことを禁じる法律の草案を発表している。

 同省の広報担当者はこれまでのところ、コメント要請に応じていない。

 代理出産に関する法律は各国で異なる。ドイツやフランスなど代理出産そのものを禁止している国もあれば、医療費分を超える金銭の支払いを禁じている国もある。米国は州によってまちまちだ。

 代理出産が成長市場になっているタイでは今年、金銭目的の代理出産を禁止する法律が可決された。

 インドは代理出産で子どもを持とうとする人たちの間で人気がある。費用が1万5000ドル(約180万円)程度と、相対的に低いのも一因だ。医学誌ランセットによると、米国での代理出産には20万ドルほどかかる。インドで代理母が得るのは約5000ドル、米国では2万5000ドルだという。

 インドは代理出産に対する規制を強化してきた。保健家族福祉省は2012年、同性カップルや独身者がインドで代理出産を利用することを禁じたほか、婚姻期間2年以上の夫婦に限り必要な査証を発給するとした。

 在ニューデリー米大使館は29日、インドで代理出産を利用しようとする場合は注意するよう米国人に勧告した。


引用元:
インド、外国人向け代理出産を禁止(WSJ)